Laura

風船のLauraのレビュー・感想・評価

風船(1956年製作の映画)
3.5
主人公の名前が村上春樹。それはともかく、全員が主役のような存在感。もちろんクレジットでは森雅之・三橋達也がトップに来るのだが、誰が主役というよりは全員が互いのキャラを引き立て合い、一つのドラマを回しているという感じ。クズ男三橋達也、悪女北原三枝、薄倖の美女新珠三千代、どこからどう見てもクセモノ二本柳寛、そして清らかな芦川いづみ。戦後10年、東京のまばゆいネオン街は日本の復興と発展を印象づけるが、まだまだ取り残された人はたくさんいたのだろう。西洋文化を取り入れこの世代の人たちが持っていた諦念と希望のようなものが両方見える。東京と京都、日本と西洋、そして戦争と戦後という対比項。男は風船、女は重しという比喩や、ヌード写真モデルで生計を立てる娘が吐露する「外面は撮られても内面は犯されない」という信条だとか、重要なことを要所にちりばめられつつもそこは川島雄三、あくまで語りの調子は軽妙。
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