T太郎

TITANE/チタンのT太郎のレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.7
942
フランス映画だ。

この作品を端的に言い表す語彙を私は持ち合わせていない。
これは一体何なのか。

なんと言うか、奇妙でエネルギッシュで不快で不穏・・・
ん~、微妙に違うし、合っている部分もあるし。

ただし、これだけは確実に言える。
痛い!

鑑賞しながら何回「痛い痛い」と言った事か。
様々な身体的痛みの場面が出てくるのだ。
特に前半。
そこも要注目と言える。

主人公はアレクシアというセクシーな女性だ。
幼い頃の事故により頭蓋骨にチタン板が埋め込まれている。

それが原因なのかどうかは知らないが、
(・・・いや、それが原因だとすれば色々問題あるやろ)
アレクシアには相当な暴力性があるのだ。

スラッシャー映画の殺人鬼なみに凶暴なのである。
とにかく、見境なく殺していく。
眉一つ動かさず。
様々な方法で。
親まで殺すのだ。

そんな彼女が最後に真実の愛を見つけるという物語である。

なんじゃそれ!
支離滅裂ではないか。
一体どういう事なのだ。

そのままである。
そんな物語なのである。
心して観ていただきたい。

前半も凄かったが、後半も別次元で凄かった。
殺人鬼が男装の妊婦となるのだ。
どこか倒錯した世界が繰り広げられ、アレクシアが男なのか女なのか分からなくなりそうになる。

そう、男装の妊婦だ。
なんじゃそれ!である。

このアレクシアの変幻自在ぶりが実にすさまじいのだ。
前半のセクシーな殺人鬼と後半の男装の妊婦。
ギャップに次ぐギャップだ。
ギャップの二段重ねだ。
ギャップとギャップのランデブーだ。
ギャップとギャップの掛け合い漫才だ。

アレクシア役の女優さんはこの作品が、映画デビュー作らしい。
正に体当たり演技だと言えるだろう。

この映画は彼女の独壇場となっている。
素晴らしい演技だ。
是非ともその目でご確認いただきたい。

        完
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