ドンキーホーグ

もう終わりにしよう。のドンキーホーグのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
3.9
頭の中で繰り広げられる、たらればの妄想。切っては貼り、映画からシーンを借用し、造り付けてはみるが、所詮は妄想なので時系列やら設定やらが飛び飛びになる。
そんな出鱈目な妄想の中の登場人物が主人公だったら…という作品のようだ

この複雑な構造の中に、ミソジニーやら詩やら男女問題、人生など、喋らせたい要素をてんこ盛りにした会話劇

この妄想の主は、ひけらかしたがり屋で、少々の学と教養はあるが月並みで退屈…だからキャラクターの会話も終始そんな感じ
映画の分析やらフロイトやら、言っちゃ悪いが恋人がロードトリップでするような会話じゃない。聴いたことあるような話で情報価も低いしね。
所詮は孤独な男の妄想なのだ(あくまでこれは演出上のデザインで、この会話劇がそのまま監督の主張ではないですよね?)

設定も記憶も、特に情緒もめっちゃくちゃで見てて楽しい
役者陣も濃い演技する人間しか出てないし、見応えはあった

自分のような内言と妄想に溢れた人間にとっては、共感できる部分が多い
(と言ってもこの主人公ほど妄想に対しての情熱は無いが)
SFやホラー、サイコロジカルスリラーへと繋がりそうな多様な伏線があったのに、半ば夢オチみたいな形で終わったのは少し期待外れだったかなぁ
(というか中年男の人生・恋愛についての後悔…ってテーマがもう飽きてくるというか…みみっちいというか)
ほとんど舞台が移動しない(車内・家)
中、刻一刻と奇妙な事態が持ち上がってくる様は、ゲーム「P.T.」を思い起こさせた