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2番目に幸せなことのmimagordonのレビュー・感想・評価

2番目に幸せなこと(2000年製作の映画)
3.4
なんか...こうじゃない。どっち付かず。

もっとロバート側の人物描写を深く描いてほしかった。エイズで亡くなった彼の友人との関係や、父親であると同時に自身のセクシャリティに悩む様子や少しだけ出てくるロバートの恋人との関係とか。そこがさらっと触れられるだけでほぼすっ飛ばしなので、突然アビーが暴走を始めたように見えてしまう。あながち間違ってはいないのかもだけど。法廷ドラマにするにしても事務的に描かれすぎてドラマや緊張感を感じられない。コメディとドラマのバランスが悪すぎて結局誰にも感情移入できないまま「違うだろ...」と複雑な思いを抱えつつ終わりに。描き方次第では傑作ドラマになり得たかもしれないのに、かなり勿体ない。

"American Pie" は過ぎ去った昔を懐かしむ曲だ。そしてそれは戻ってこない。理想的に見えたことも、後戻りできないまでに壊れてしまうことがある。バディ・ホリーが亡くなり、ジャニス・ジョプリンも亡くなり、ラブ&ピースが過去の幻影と化したように、亀裂が入ったロバートとアビーの友情には「妥協」という形でしかもう向き合えない。「さようなら、ミス・アメリカン・パイ」は、ロバートがアビーに最後に投げかけた思いなのかもしれない。
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