りょう

アステロイド・シティのりょうのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.2
 ようやく翌日、待望の「オッペンハイマー」を観られるというタイミングで、偶然にもこの作品を観てしまいました。アステロイド・シティでは水爆実験がくり返されていて、まるでマンハッタン計画の原爆実験の舞台となったロスアラモスがモデルになっているようでした。こんなふうにキノコ雲が軽妙に描かれているのに、“バーベンハイマー”のようなバッシングに遭わなかったのが不思議です。
 それはともかく、ウェス・アンダーソン監督の作風は、いつも評価されていながら、個人的には波長があわないのか、ほとんど印象的な作品がありません。この作品は、とてもカラフルながら淡い色彩が特徴的で、映像そのものは悪くありません。かなりデフォルメされた風景の一方で、さまざまなアイテムなどのディテールにこだわった描写も興味深いです。
 ただ、全般的に演出が“お芝居風”で、映画というよりも舞台演劇を観ている気分になり、刺激的でもなければ不穏な雰囲気もなく、あまりに心地いい展開で眠気を誘います。必ずしも悪いというわけではありませんが、それは個人的な映画へのニーズではありません。
 3層構造の設定は面白いと思いますが、アステロイド・シティの物語そのものを深掘りした展開を期待しました。いろいろな意味で作品の意図などを理解できなかったせいでしょう。
りょう

りょう