T太郎

帰らない日曜日のT太郎のレビュー・感想・評価

帰らない日曜日(2021年製作の映画)
3.6
905
恋愛映画・・・と一口に言っていいのか分からないが、恋愛絡みの人間ドラマだ。

1924年のイギリスが舞台だ。
第一次世界大戦が終わって6年後である。

田園風景が広がる美しい村に、
ニブン家
ホブディ家
シェリンガム家
という名門の一族がいた。

3名家は家族ぐるみのお付き合いがあり、仲良しである、

そのうちニブン家とシェリンガム家は息子たちが戦死している。
息子世代で残っているのは、シェリンガム家の末息子のポールとホブディ家の一人娘エマだけだ。
そして、ポールとエマは婚約している。

以上はあくまで前庭事項なのだが、最初はよく分からない。
徐々に徐々に、小出しに小出しに示されるので、なんだかよく分からないまま観ていく事になる。

主人公はジェーンというニブン家のメイドさんだ。
彼女は孤児である。
まだ10代の少女だ。

シャキシャキ働く有能なメイドさんに見えるのだが、実はシェリンガム家のポールと密会を重ねている。

ジェーンはポールの婚約の事も知っているし、決して結ばれ得ない事も知っているのだが、会わずにはいられない。

なんせ全てを捧げた相手なのである。
多分、初恋だ。

一方、ポールの気持ちはよく分からない。
今の価値観を基準にして、嫌悪感を抱く女性もいるだろう。

だが、決して悪い男ではない。
彼はジェーンに対して「愛してる」とは言わず「ベストフレンド」と言う。
無責任な発言を慎重に控えているように思えるのだ。

まあ、でも、ズルいと言えばズルいよね。

メインストーリーのさわりだけ紹介したが、実は他が盛り沢山なのである。

ジェーンは後々、作家になる。
黒人の哲学者と付き合い、彼の叱咤激励もあり執筆を続けていく。
20代30代40代と年齢も重ねていく。

メイド時代も含め、これらがランダムに語られていくので、最初はかなり戸惑う。

だが、次第にそれも解消されるはずだ。
観終わった後はそれなりの納得感を得られるだろう。

一人の身寄りのない少女が大成するまでの一代記と捉えた方がいいかもしれない。

こういう作品には珍しく、悪人、悪意を持った人が一切出てこない。
終始不機嫌なエマにしても、同情できる境遇であり悪意など全くないのである。

悪意とまでは言えないかもだが、唯一不純な輩がいるとすれば、ジェーンのお○ぱいに釘付けになっていた私であろう。

そこは誠に申し訳ない。
深く陳謝する。
T太郎

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