よふかし

オッペンハイマーのよふかしのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「君が作ったのは新兵器じゃない。新世界だ」
一番印象的な台詞。原爆は単なる武器ではなく、世界自体を壊してしまえるもの。それを知らなかった頃にはもう戻れない、恐怖の象徴。「科学者の研究倫理」を考えてしまう映画。

全体的に、原爆を肯定的に描いてるわけじゃないけど、私には受け入れられないと思った。見れたことは良かったし、興味深い内容だったけどもう二度と見たくはない。やっぱり落とした側が作る映画だな……って印象。

なんていうか、クリストファーノーラン監督は好きだし、これはノンフィクション映画の中でも台詞や演出・構成など抜きん出てると思うんだけど、根本的なところで冷酷なんだよね。
特に、人を大勢殺す爆弾を作り、実験に成功して大喜びするシーンが本当にエグい。ピカっと光って、大きく上がるきのこ雲。遅れて建物を揺らすほどの爆発音。恐ろしすぎる。全く笑えない。なのに、作中の人たちはハグして笑ってる。映画見ててここまで感情移入できないと思ったのは初めてだった。自分は被爆したわけではないのに、悔しくて悲しくて胸が潰れそうだった。
戦争が早く終わったなんて結果論。どんなに言葉を尽くされても、あの虐殺に正当性なんてない。だって、平和を楽に手に入れるための手段としての原子爆弾が許されるなら、国家統合を楽に行う手段としてのホロコーストが許されるんじゃないですか?
オッペンハイマーさえいなければあのタイミングで日本に原爆が落とされることはなかったと思う。でも結局アメリカはキューバとかに落としてたかもな……

「プロメテウスが火を与えたように、君が原爆を与えた。人類を滅ぼしうる原爆を」
この台詞も良かった。原爆は神話になぞらえるほどの大発明で、火とは違って殺す力しか持ち得ないものと思うとゾクッとする。
あ、あと、投下後のオッペンハイマーの演説で響いた、靴を踏み鳴らす音が世界が壊れていく音に思えた。苦しむ人を幻視する演出もすごかった。

オッペンハイマーは製造中も諭されまくったし、原爆投下後は戦勝の喜びにいまいち浸れずに葛藤する様子もあるから、本当に原爆に対しては肯定的ではない。序盤にも書いたけど、作品を通したテーマは「科学者の研究倫理」だと思う。オッペンハイマーは自分を正当化するために「科学者は使い方を選べない」って言ったけど、それはどうなの?っていう。

「水爆に反対したのはいつからか?」
「この国がどんな技術も使うという判断をすると知った時だ」
そして、終盤のオッペンハイマーのこの言葉がすべて。多分、どんな人も強大な力を抑止力としてずっと持っておくなんて出来ない。使う方が楽だから、正当化して使っちゃう。
最後にアインシュタインが「賞をもらえたり讃えられたりするのは君が許されたからじゃない」的なことを言うシーンの意味って、ここにかかってるのかもな。オッペンハイマーに罪があるとすれば、当時の投下に合意した全員に罪があることになる。だから正当化するために"アメリカ国民が"彼を讃える。だからそこに許しなんかないよって。

こんだけ書いたけど前半は眠気との戦いやった🥱
以下脳直感想⤵︎
映画の尺長すぎ〜!時間軸違うシーンを交互にやる構成やめとくれ〜!オッペンハイマー女癖悪すぎ〜!嫁カッケェ〜!アインシュタイン似てる〜!顔の見分けつかん〜!アクセス権限の検討会?のシーン長いし分からん〜!
よふかし

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