献血るーむくん

ラーゲリより愛を込めての献血るーむくんのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
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2023年劇場2作目。地方紙の読者のページに「自分の父親もシベリアにいたのでどんな様子だったか見に行き、ふんどし姿で埋められていたのが一番心に残っています。」とあったので、いったいどんなシーンか知りたくて珍しい朝一番の8:30開演を見に行く。
こんな早い時間見るのは自分だけかと思ったが4人見ていた。確かにふんどし埋葬シーンは強烈だったが、自分は人間を平気で土足で何度も踏みつけるシーンのほうが強烈だった。
ただこの映画ではそれだけでなく、例えばみんなで余暇で野球をするシーンや川に満面の笑みで飛び込むシーンとかもあってよかった。(平安商業出身のピッチャーの球がすごくてリアルだった。)
もちろんそれ以上に4人の生き残りが、最後に山本の遺書をそらで家族に朗読する姿が強烈だった。確かに人の物を奪うことは簡単だが、記憶は何者も決して奪うことができない。あらためて人の記憶の力の恐ろしさに驚愕してしまう。だからこそいじめられたものにとっての記憶は決してなくならないのだと改めて認識する。
クロのエピソードは恐らく映画を盛り上げるために史実とは違う、つけたしだろうが、これはこれはよかったし、信ちゃんの純粋さがラーゲリーの悲惨な状況を常に温かいものにしていた。
ただ、タイトルの「愛をこめて」はいるのだろうか。「ラーゲリーから」で十分だし、原作のままのほうが良かったのでは。陳腐すぎる。それでもファーストスラムダンクと同様いい映画だったことは間違いない。