寝耳に猫800

デューン 砂の惑星PART2の寝耳に猫800のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
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IMAXにて鑑賞、事前にPART1を観直してから臨んだが人物相関図や物語はそこまで込み入ったものではないので見直さなくてもすんなり入っていけるかも

原作が60年前の小説ということも関係しているのか、ストーリーは典型的すぎるくらいに典型的な貴種流離譚(高貴な出自を持った主人公が一度は国を追われ、異なる種族と交わり試練を乗り越える中で特別な存在となって帰還する、みたいな)+ラブロマンス、なので物語展開に驚きを見出すことは難しいかもしれないが、本作の楽しみはそういうところにはないとも言える(逆に、古くから用いられる物語類型なので安定感がある)

やはりPART1から通底している本作の一番の面白さは『デューン 砂の惑星』という世界観を映像と音声で緻密かつクールに再現することに成功していること、砂漠で生き残るためのスーツや水分補給方法、砂虫の蠢き、あらゆるところに映像的なクリエイティヴィティが行き渡りつつ自分のような素人が見ても直感的に納得できる形に落とし込まれている、そのことが体験としてとても楽しい、人間のSF的な想像力が大体の技術で映像により具現化できてしまうことは恐ろしいことでもある

一点、ヴィルヌーヴはカメラアングルにしろ人・モノの動きにしろ観客をこの世界観に没入させることを意識して本作を設計しているように思えるが、主人公は一貫してフレメン側であるにもかかわらず、ハルコンネンがフレメンの奇襲を受けるところは観客がハルコンネン側に感じるように撮られていたりして、なんというか作品を通して物語を伝えるために観客が没入する視点(側)が固定されているというより、その時その時で観ている側が一番ドキドキしたり驚いたりするための視点が選択されている感じがして、刹那的な映像体験という印象はあった、その意味でも本作はアミューズメント感が強い

追伸:信仰というのは本作の主要テーマの一つではあるが、自分は救世主ではないと言うほど「またまた謙遜しちゃって〜本物なんでしょ〜!?」みたいな流れになる感じがちょっとコントっぽかった、大袈裟な感じがいちいち笑えたりもする

追伸2:というかいくらなんでもキャストが豪華すぎる、主要キャストは勿論、具体的なシーン言及は避けるがアニャ・テイラー=ジョイがチョイ役で出てきた時には目を疑った、次回作のフリなのかしら