りょうさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

りょう

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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

4.0

 2年ぶりに2回目を観ました。「しょせん中国のアニメ」と思って、最初の期待値がかなり低かったので、物語も映像も想定外の完成度にびっくりしました。韓国映画の「シュリ」をリアルタイムで観たときと似たような>>続きを読む

エリジウム(2013年製作の映画)

3.2

 とても興味のあるテーマにもかかわらず、なぜか印象の悪い作品だったので、数年ぶりに2回目を観てみました。
 2154年の世界でAI搭載のドロイドが警察官のように稼働しているのに、それらを製造する工場の
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.6

 普通の人間は本能的に高所恐怖症です。高所は生命が危険にさらされる場所なので、防衛的に手足から発汗するのは当然の生理現象です。映画を観てそれを強烈に再認識したのは過去になかったかもしれません。
 実際
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

 Filmarks試写会で観ました。LiLiCoさんのアフタートークも面白かったです。最近のフィンランド映画は「ハッチング-孵化-」くらいしか観ていませんが、またまた個性的な作品に出会ってしまいました>>続きを読む

人質 韓国トップスター誘拐事件(2021年製作の映画)

3.4

 ファン・ジョンミンといえば、「哭声 コクソン」と「ただ悪より救いたまえ」が印象的です。彼が本人役で主演という設定は、冒頭で主人公のキャラクター説明を省略できるというメリットがあります。単刀直入に本題>>続きを読む

ライフ(2017年製作の映画)

3.4

 宇宙船などの閉鎖的な空間を舞台にしたSF映画は、1968年の「2001年宇宙の旅」を起源として、どれも既視感(よくも悪くも)を否めません。
 この作品は、そうでなくともリドリー・スコット監督の「エイ
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スマイル(2022年製作の映画)

3.6

 少しネタバレになりますが、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の「イット・フォローズ」と黒沢清監督の「CURE」をミックスしたような構造の展開でした。ただ、“トラウマ”という概念をモチーフとしつつ、>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

3.2

 唐突に「子どもは男女のカップルが養育するのがいい」みたいなことを言う家庭裁判所の調停委員が登場して絶句しました。さすがにここまであからさまだとリアリティがありませんが、逆に田舎のコミュニティが同性カ>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.4

 最初に観たのは30年前くらいの大学生のときでしたが、冒頭の「人類の夜明け」のパートで「猿の惑星」(劇場公開はほぼ同時期)と間違いそうでした。終盤の「木星 そして無限の宇宙の彼方へ」のパートは意味不明>>続きを読む

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.8

 先日はマーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」を観ましたが、1970年代後半のNYを舞台として、ベトナム戦争の1人の帰還兵の視点からアメリカの病理を投影する作品でした。2007年のこの作品>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

5.0

 タクシードライバーを主人公にした映画はいくつかあって、物語のモチーフとしてはさまざまですが、低所得層の職業というネガティブなイメージがあります。この作品は、そのイメージを極限にまで強調した設定が物語>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.4

 この作品が公開された当時は大学生で、映画は1940~70年代の洋画ばかり観ていたので、かなり話題になっていたのに観ないままでした。ただ、高校生のころから犯罪心理学を勉強していたので、FBIのプロファ>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.8

 20代前半で結婚した自分としては、30歳前後の恋愛とか経験ありませんが、この作品を観ると、「最近の若いひとの恋愛観って、いったいどんな…」って思います。この登場人物たちのような面倒くさい恋愛には巻き>>続きを読む

とべない風船(2022年製作の映画)

3.4

 漁業以外には何の産業もないような離島が舞台で、初夏の季節の清々しい雰囲気が好印象でした。病院もない生活環境ですが、穏やかな瀬戸内海をわたるフェリーで本土との往来もそれほど不便でもなさそうです。
 ゆ
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プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)

3.8

 「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のバズ・プーンピリヤ監督の作品とあって、相変わらずあらすじも確認しないまま観てしまい、序盤の展開に戸惑いました。
 “Whiplash”のカッコよさが際立つオー
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誰も知らない(2004年製作の映画)

3.2

 10数年ぶりで観ましたが、やっぱり好きになれない作品です。当時と比較すれば、映画としてのクオリティは理解できるし、子どもたちの演出や丁寧な描写に感心しきりでしたが、物語そのものへの嫌悪感がさらにひど>>続きを読む

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)

3.6

 1972年に帰還した横井庄一さんとともに、小野田寛郎さんの戦後の物語は、日本ではとても有名で、さまざまな教訓があると思いますが、海外ではどのように理解されていたのか興味があります。
 この作品は、欧
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マッキー/Makkhi(2012年製作の映画)

3.2

 2012年の作品ですが、当時はこんなインド映画が流行っていたことすらわかりませんでした。「RRR」が話題なので、かなり周回遅れですが、S・S・ラージャマウリ監督の作品も観てみようと思います。
 主人
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カサブランカ(1942年製作の映画)

3.6

 イングリッド・バーグマンは、大学生のときに観た「ガス燈」と「汚名」で魅了されて、グレース・ケリーとともに、当時のハリウッド女優の美しさの指標になりました。
 この作品は、大学の講義の題材になって、有
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きみはいい子(2014年製作の映画)

3.8

 幼児虐待、いじめ、学級崩壊、モンスターペアレント、自閉症…など、子どもにまつわるネガティブなできごとが次々と描かれます。映画とわかっていても観るのがしんどくなりました。ちゃんとした物語はありますが、>>続きを読む

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

3.4

 あからさまに「ダイ・ハード」と「ホーム・アローン」をミックスしたような展開でした。劇中でもその2作品が登場するので、かなり意図的なところは潔くて好印象です。
 そもそもサンタクロースにどんな能力があ
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.6

 ペドロ・アルモドバル監督の作品は、若いころに何本か観ていましたが、実写なのにアニメーションのような原色を多用する色彩が苦手で、自然と観ないようになっていました。この作品は評判がいいし、写真も好印象だ>>続きを読む

パリ13区(2021年製作の映画)

3.8

 ジャック・オーディアール監督のこれまでの作品と比較すると、少し抽象的な表現でつかみどころのない印象でした。主な登場人物は3人だけですが、少し群像劇のような雰囲気もあり、男女の三角関係のようでもあり、>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

3.8

 イランは当然のように死刑制度を存続させ、“人権後進国”を日本と競っています。この作品には、金銭で夫の死刑を免除してもらおうとする女性が登場しますが、そんなことができるイランは、もしかしたら日本よりマ>>続きを読む

あつい胸さわぎ(2023年製作の映画)

4.0

 あまり話題作でもなかったし、「なんでこんなに評判がいいんだろう」と思って観たら、まんまと泣かされてしまいました。
 大学生である千夏の乳がんを中心にした物語ですが、ありがちな闘病をテーマにしたような
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.2

 定期的に過去に遡る構成は「メメント」のまんまだと思いましたが、恋愛映画のニュアンスとしては「エターナル・サンシャイン」に似ていました。物語の構造や登場人物の過去へのこだわりとかは違いますが…。これが>>続きを読む

ジャンヌ(2019年製作の映画)

2.0

 この描写と展開で138分はかなり厳しかったです。前半はアマチュア劇団の舞台劇を屋外で撮影したようなものでした。なぜかめちゃくちゃ足場の悪そうな砂地や丘陵地なので、登場人物の動作が緩慢です。
 中盤以
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ジャネット(2017年製作の映画)

2.0

 ブリュノ・デュモン監督の作品は、もう20年以上前ですが、「ユマニテ」を観ました。ほとんど記憶にないくらいです。
 久しぶりにこの名前に出会ったと思ったら、ロック・ミュージカルでしかもジャンヌ・ダルク
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犬王(2021年製作の映画)

2.4

 個人的には、あまり共感できる作品ではありませんでした。序盤に“三種の神器”のくだりがあって、それをきっかけに友魚が仇討ちの旅をはじめたはずですが、どちらも物語から消失してしまいます。それが物語の基軸>>続きを読む

ハンナ(2011年製作の映画)

4.0

 あまり評判がよくありませんが、個人的には結構好きで、これまで4回観ました。
 10年前くらいの最初の感想は、The Chemical Brothersの劇伴がカッコいいということです。16歳の少女を
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.2

 すごいものを観てしまったことに間違いありませんが、映画のクオリティとしては残念なものでした。
 殺戮シーンの過剰な演出は賛否あると思います。血糊の分量を間違っているし、ここまでやられてしまうと笑うし
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ブレイブ ワン(2007年製作の映画)

3.8

 たぶん15年ぶりくらいで観ました。当時もジョディ・フォスターが演じたエリカの行動に賛否がありましたが、現代的な価値感でも難しい判断です。おそらく両極端になるであろう意見はどちらも正論のはずです。
 
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ゾディアック(2006年製作の映画)

3.8

 今回で3回目になります。最初に観たときは、連続殺人鬼をテーマにしたデヴィッド・フィンチャー監督の作品なので、当然に「セブン」のような作風を期待しました。長年にわたって決定的な証拠もつかめない刑事や新>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.4

 なにより主演のアナマリア・バルトロメイの美貌に見惚れてしまいます。自分の境遇を誰にも相談できなかったりするので、複雑な心情や焦燥感を表現することも簡単ではなかったと思いますが、そんな彼女の演技が作品>>続きを読む

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

3.2

 とても評判のいい作品ですが、個人的にはあまり共感できず、こういう感動的な物語を理解するだけの素養がなくて残念でした。もともとアメリカの良心や愛国心を体現したような物語が苦手です。父親をトム・ハンクス>>続きを読む

ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.2

 ミシェル・フランコ監督の作品は、「父の秘密」しか観ていませんが、ここまで作風を一変させておきながら、映画でやりたいことは“そのまま”という表現に感服しました。
 メキシコの誘拐ビジネスの実態は、最近
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