バス釣り太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

バス釣り太郎

バス釣り太郎

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ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

5.0

「美―――美という奴は恐ろしいおっかないもんだよ!つまり、杓子定規に決める事が出来ないから、それで恐ろしいのだ。美の中では両方の岸が一つに出合って、すべての矛盾が一緒に住んでいるのだ。ええ、畜生、何が>>続きを読む

エル・トポ(1970年製作の映画)

3.8

この世の全てのタブーを煮詰めたような…

結構飽きながら観ちゃったんだけど、特典映像でホドロフスキーが「奇形は遺伝子の想像的創造である」みたいなことを言っていてなるほどと妙に納得してしまって、胸糞の悪
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ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)

4.4

『家からの手紙』の次にこれを見たので、別の映画でなくなにか地続きの連作として思えずにはいられなかった

母という、ありえないほど近いのにどこまでも分かり合えない存在。世界は狭いと自身で証明してしまった
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故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

3.7

体感上映時間は5億年くらいだったけど、自分のその時の状況、気分によってはいくらでも最高の映画になり得ると思った

自分の返事は排して一方的に母からの手紙のみを自身の声で音読するあたりにやはり狂気を感じ
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

4.1

発散しきれない感情が、耳障りな鼻歌と共に蓄積して爆発する。女性の持ち場としてのキッチンから一歩も出ない。この映画の真っ直ぐ延長線上に、ジャンヌディエルマンが立っている

悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.9

ふらっと武蔵野館に入って見たがこれは…今年ベストに限りなく近い!『ルーム』と『フォレスト・ガンプ』のそれぞれに、醜悪さをこれでもかと足したような映画だけどとても気に入った

数年前から認知症になった祖
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ベティ・ブルー/インテグラル 完全版(1992年製作の映画)

3.8

普通にイカれたバカップルのじゃれあいを長時間見るのキツいし、そのラストは『カッコーの巣の上で』でやってるじゃないかとか思うけれど、『DIVA』のデートシーンや本作のピアノを弾くシーンみたいな昇天寸前ま>>続きを読む

ひなぎく(1966年製作の映画)

3.9

うーんこれは絶対に好きだと思っていたのだけどさほどでもなく残念。下品なところで食傷気味になっちゃうのがどうも…
にしても今見て全く古さを感じないのは凄いし、ハサミ対決やガトリングの如く連写される蝶のイ
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ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

4.3

初タルコ!45分でこの満足度。
冒頭の万華鏡のようなイメージから、水、光まで表現力がすごい。貧富の象徴としての2つの道具が、両者を媒介し年齢と階級を埋める。ふたりが映画の約束を取りつけた時、一粒の水滴
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ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

3.8

楽しかったーけどまあアケルマンで見なくてもという感じが……『一晩中』で起きててこれで寝たんだからそういうことだと思う。しかし彼女は、次のジャンヌディエルマンを期待する世間に反発するがごとくこれを楽しく>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

4.2

小さな出来事にさえ満たないシーンの欠片のなかに、いてもたってもいられない恋人たちの衝動がたち上がる。タイトル通り映画の大半は夜であり、暗闇の中で動く役者たちには極微量な光のみが当てられるのに、なぜかそ>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.6

リンクレイターってどういう映画が撮りたいのか謎。『スクール・オブ・ロック』『ビフォア・サンライズ』とか大好きなんだけど、後期になって「人生難しいよね!」みたいな作風に変わってビミョー。しかもそれがお得>>続きを読む

ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.8

『少年、機関車に乗る』の機関車、『コシュ・バ・コシュ』のロープウェイ、今度はどんな乗り物を使ってくれるのかと思ってたら……。迫り来る理不尽からどこまでもファンタジックに、それでいて優しく救済してくれる>>続きを読む

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

4.6

そこら中で乾いた銃声が鳴り響き、賭博をしていれば川に死体が流れてくるような世界線の中、ロープウェイは男女の逃避行の住処として貸し出され、当の女はこのうざったらしい世界に真っ向から中指を立ててみせる逞し>>続きを読む

少年、機関車に乗る 2Kレストア版(1991年製作の映画)

3.8

『ヤンヤン 夏の想い出』も『お早よう』もそうだけど、映画に出てくる拗ねる少年というのはおしなべてかわいい。少女が出てくる時より全然かわいく感じるのはなぜなのか。いやいやそういう趣味では…

退屈な時間
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.4

なんというか奇跡みたいな美女がコスチューム七変化を披露してくれるだけでも眼福極まりないし、ファスビンダーとは少し違うベクトルでこれまたキレッキレの映像には目が離せなくなっていたのだが、終盤は自分も映画>>続きを読む

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

4.3

かねてからこんな映画を観たいと思っていた(ような気がする)。というのは、触覚にここまで訴えかける演出を他に見たことがないし、それが追い立ててパーソナルな快楽に繋がっていく楽しさがあってすごい。ちょっと>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

5.0

極限まで削ぎ落とされた台詞をもってしても余りあるほどに、映像が雄弁である。これぞ映画を観る意味だ!と恥ずかしげもなく言いたい。映像美でもあるが編集美でもある。人を笑かすためでなく、映画を撮るために生ま>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.6

歯のないホームレスの顔面アップから始まる映画は他にあるのだろうか…
サティの『グノシエンヌ 1番』と共に、鉄橋の水平線から徐々に男の姿が現れる。何ともカッコイイのだがその歩き方や風貌はなにか粗暴な概念
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.7

凡そこの邦題とは違う内容の映画を見せられたわけだけど、思い返せばヤンヤンが人の後頭部を撮り続けて「真実のもう半分」を探し求めたことこそが、この映画がそのままやろうとしていた事のように思える。その意味で>>続きを読む

タンポポ(1985年製作の映画)

3.9

秘技・卵黄口移しのとてつもないエロさにやられてしまった。というか役所広司のとこぐらいしかこれといって好きなところがないけど楽しかったのは間違いない。俺も最後の映画をみれるだろうか。
伊丹十三、俳優でキ
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雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.2

最後までみて、アケルマンじゃないか!と思ったらアルトマンだった(言いたいだけ)けどこっちの方が先だった

子供が遊んで撮っちゃったみたいなズームアップに毎度笑ってしまうのだが、それでいて的確というか効
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(1954年製作の映画)

3.5

良さがひとつも見つけられずに終わってしまった、残念…現代人の感覚でこの映画をアプリシエイトするのはかなりハードルが高いのではなかろうか。ニーノ・ロータの音楽も霞んで聴こえてきた
ジェルソミーナ泣き顔可
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

2.9

描写に時間をかけた割には愛着も興味も持てない人物たちの激つまんないやりとりを延々と聞かされるのも発狂ものだが、それはまあいいとしてもコカイン大喜利を全然やってないのはほんとうに罪深いと思う。人間コカイ>>続きを読む

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

4.2

ちょっとドアから外に出ようとすれば奇形児に大声で泣かれ、ラジエーターの下を覗けば暗黒世界が広がっているし、窓の外を見ればゼロ距離でレンガの壁が佇んでいる。望まない子供を妊娠させたことの、父親になること>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.2

真っ暗いリビングで観ていたら俺もこわれそうになってなんでこんな映画作るんだよ…と思いながらも、やはりスパゲティ会食のとてつもなく気まずいシーンがあらゆる意味でのピークで、折り返しあたりから早く終われと>>続きを読む

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.9

まじで永遠に見ていたい。観終わった夜、このどう考えても距離感バグな姉弟とその周りにあったものが可笑しくて愛おしくなってしょうがない。

愛とは言っても性愛しか知らねえだろ、と思われるようなロバートだが
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.9

この粗さ!カッコイイ!めちゃくちゃジャズが鳴っている!

ロマンチック彼氏が黒人お兄ちゃん達を見た時の全てをこちらに分からせるような描き方はすごい。オフビートなのにシリアス。美術館訪問がみんな馬鹿すぎ
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.5

これをみてウェス映画は短編が一番良いなあと思った(思ってしまった)。細かなガジェットと膨大なセリフ量に100パーセントで対応できるのはこの40分くらいが限界な気がする。そういう意味では彼の映画の中で一>>続きを読む

東京暮色(1957年製作の映画)

4.6

小津とは思えないほどに異色も異色、そもそもこんなに綺麗な女優を作中一度も笑わせないとは鬼の所業である。山田五十鈴と姉妹二人がそれぞれ対面する時の妙な緊張感、切実な響きでもって発される数々の台詞は他の小>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.6

ドラマの時はよく落とし込んでいるなあなんて思ってたけど、長尺で見ると露伴でもなんでもないただの変なおじさんにしか見えなくてダメだった。映画にした意味もほぼ無いと思う
天下のルーヴルに撮影許可までこじつ
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食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

3.3

阿鼻叫喚、最強の地獄絵図みたいのが見れると思ったらそうでもなく、レヴィ・ストロース『野生の思考』(読んでない)みたいな話になっていって困惑。人の捕食シーンがさほどない割には胸糞悪くなる動物虐待(という>>続きを読む

アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

4.0

なあんだ、わかりやすいじゃん!(大嘘)

胸を揉みしだくところが普通にエロくて、官能映画と位置づけるがいいのではないかと思った

ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

4.4

カリエールつながりでブニュエルに触れてみる。めちゃくちゃ面白い。ここで笑ってね、というような分かり易い目印がないから、自分の感性とタイミングで笑えるのがすごくいい

食事が中断される話とみんな言ってい
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.3

マレーネが気になりすぎて肝心の二人にあまり意識を割けなかったのは謝りたい。もはやマレーネがいつお茶を渡しに来るのか、とかしか見てなかった気がする。
室内に響き渡るタイプ音と、ペトラに何か申し付けられた
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.7

冒頭でエミが最初にバーに入ってきた時、その老婆を好奇と侮蔑の目で見ていたモロッコ移民達が全員被らないように立ち並んでいる画にゾッとして、その抽象的なマイナスの感覚が映画を通して付き纏ってきて辛い。どん>>続きを読む