場末の酒場のピアノ弾き、シャルリを演じるシャルル・アズナヴールが絶妙だ。
絶望しながらも生きていく人生の味といったものが、映画を観終わった後、胸の奥にソッと残される、そんな感じの映画なのです。
随>>続きを読む
篠田正浩監督の「卑弥呼」は、日本の古代史について、一つの奇抜な幻想を展開してみせた映画だ。
脚本を書いた富岡多恵子と篠田正浩は、有名なヤマタイ国の女王・卑弥呼を手掛かりとして、古代日本を、アマツカミ>>続きを読む
キューバ危機は、一歩間違えば、人類の歴史を大きく変えたかもしれない、20世紀の大事件だ。
この映画「13デイズ」は、事実のみが持つ説得力を生かし、この題材を息詰まる政治サスペンスドラマに仕立てた作品>>続きを読む
1970年代の初頭のアメリカ映画界は、いわゆる”アメリカン・ニューシネマ”ブームで、体制批判的なテーマの映画が横溢している中にあって、この映画「大空港」は、ハリウッドらしいスペクタクルとドラマを蘇らせ>>続きを読む
このアラン・J・パクラ監督の「ソフィーの選択」の男女の主人公たちは、若き日に大きな心の傷を受けて、生涯その痛みに耐えて生き抜いた人たちだ。
ポーランド女性のメリル・ストリープが演じるソフィーは、ナチ>>続きを読む
この「津軽じょんがら節」は、「約束」「旅の重さ」に続く、斎藤耕一監督の”風土三部作”の第三作目の作品だ。
ヤクザ組織から追われる青年が、愛人の郷里である、津軽の漁村に流れて来る。
都会からもはみ出>>続きを読む
この映画「麦の穂をゆらす風」のタイトルは、英国からの支配への抵抗のシンボルとして、アイルランドに伝わる同名の歌からきているという。
「外国の鎖に縛られることは---つらい屈辱」という歌詞が、映画の多>>続きを読む
内容的には、”二重スパイ”もので、かつて、二重スパイの嫌疑をかけられた主人公が、自らの無実を証明する為に奔走するが、実は嫌疑通りに二重スパイでした、という映画を観ていたので、この手の映画では、何が起こ>>続きを読む
このハンガリー映画「ハンガリアン」は、大国の動向に翻弄されてきたハンガリーの姿を純情な農民の姿に重ねながら、その運命をリアリスティックに描いたファーブリ・ゾルタン監督の力作だ。
第二次世界大戦中の1>>続きを読む
この映画「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」は、探偵小説史上、最も有名な名探偵シャーロック・ホームズの若き日の大冒険を描いた映画です。
もちろん、原作にはない映画用のオリジナルで、製作総指揮がス>>続きを読む
才能のある姉と才能のない妹。完璧を求める母と、安らぎを求める父。
認められた妻と、認められない夫。
そこには様々な対立、複雑な人間関係がある。
そして、扱われているテーマは、死であり、美であり、才能>>続きを読む
終わり良ければ総て良し、とすんなり行かないのが、ジャック・スターレット監督の「悪魔の追跡」だ。
それは、この映画の持つ不気味な余韻が、観終えてもなお、ずっと尾を引くからだ。
恐怖映画も様々あるが、こ>>続きを読む
この映画「アウトロー」は、南北戦争中に、北軍のゲリラに妻子を虐殺された農夫が、鍬を捨てて銃を握り、復讐の旅に出るという、クリント・イーストウッド監督・主演の西部劇だ。
西部劇のファンならば、「七人の>>続きを読む
この「深夜の告白」は、なかなか凝った構成のサスペンス映画だ。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のジェームズ・M・ケインの原作を、名匠ビリー・ワイルダー監督とハードボイルド小説作家のレイモンド・チャンドラ>>続きを読む
このシリーズ第3弾の「網走番外地 望郷篇」は、網走帰りの高倉健が、故郷の長崎へ帰って来たことから物語が始まる。
”八人殺しの鬼寅”こと、嵐寛寿郎は、この作品のみ、旭組の親分役で登場している。
田中>>続きを読む
「リオの男」は、パリからリオへ、リオからパリへ、冒険また冒険の痛快アクション映画だ。
ジャン=ポール・ベルモンドが、さりげなく、おどけながら、危険な芸当に挑む。
まるで、サイレント時代のドタバタ、ス>>続きを読む
このイタリア映画「黒い警察」は、現代の恐怖を鮮烈に描いた問題作だ。
国際都市ローマでは、凶悪犯罪が益々エスカレートし、警察は必死になって捜査網を広げていくのだが、捕まえた犯人たちは、罰せられる前に、>>続きを読む
この映画「北海ハイジャック」は、イギリスが国家事業として力を入れていた、北海の海底油田を題材にした冒険アクション映画だ。
三代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーアが、女性よりも猫と刺繍が大好きとい>>続きを読む
パリ郊外の田園に住むブルジョワ婦人ジャンヌは、息抜きに出かけたパリからの帰り、若き考古学者ベルナールと知り合う。
そのまま彼を邸宅に招いたジャンヌは、夫と娘のある身にもかかわらず、ベルナールに身をま>>続きを読む
このエリア・カザン監督の「欲望という名の電車」は、テネシー・ウィリアムズのアメリカ演劇を代表する戯曲の映画化作品ですが、この戯曲は単に戦後アメリカの生んだ最良の戯曲であるだけではなく、恐らくは20世紀>>続きを読む
モンタギュー家とキャピュレット家、両家の大人が対立しているために、悲恋に終わってしまう若者たち。
ラブストーリーの古典中の古典であり、何度も映画化されているし、シェークスピアを換骨奪胎して作り上げた>>続きを読む
精神病院と監獄でその人生の大半を過ごした作家、マルキ・ド・サド。
サディズムの語源となった、この反骨精神に溢れた男の晩年を描いた、フィリップ・カウフマン監督の「クイルズ」。
その退廃的で卑猥な内容>>続きを読む
万聖節の前夜。平時は闇に身を潜めている、あらゆる魔性の者たちが、この夜だけは姿を現わす。
そんな伝説の中、子供たちは、妖精のコスチュームとマスクを着け、家々のベルを鳴らして、お菓子をもらう。
ハロ>>続きを読む
この映画「ツリー・オブ・ライフ」は、厚みのある人間ドラマと、そこからイメージを羽ばたかせる美しい映像、クラシックの流麗な音楽。
これらが、混然一体となった秀作だと思います。
孤高の天才・テレンス・マ>>続きを読む
ジェイソン・ボーンを彷彿とさせるような、只者ではない身のこなし。
そこからはもう、ウォンビンに釘付けになりましたね。
鍛え抜かれた肉体に高いスキル。
かつての韓流四天王の一人で、それまでは、ピュアな>>続きを読む
この映画「アポロンの地獄」は、スキャンダラスな死を遂げたピエル・パオロ・パゾリーニ監督が、人間の根源的なるものを抉ったスキャンダラスな作品です。
父を殺し、母を犯すという人間社会の本質的なタブーをテ>>続きを読む
本物かと目を疑うCG映像が、ネット上にはいくつもありますね。
映画の世界も、今やそんな本物まがいのCG作品が花ざかりだ。
だが、そのほとんどは、ゴテゴテに飾り立てた空箱みたいなもので、見た目は楽しめ>>続きを読む
この「犯罪都市」は、本当にマ・ドンソクの魅力をたっぷり堪能できますね。
強気をくじき、弱気を助ける、しかも愛嬌があって、本当にマ・ドンソクは素晴らしいですよね。
我々が求める理想的なヒーロー像を体現>>続きを読む
ニューヨーク、土曜日の朝。
昨夜、知り合ったばかりのダスティン・ホフマンとミア・ファローが、彼の部屋のベッドで目を覚ます。
朝食を食べたり、レコードを聴いたりしながら、お互いに相手の生活のことを想像>>続きを読む
不安と苦悩を顔に刻み続けた、この中年の男ディエゴ(イブ・モンタン)は、反フランコ派の闘士として、スペインからパリに移住して、25年間地下工作を続けてきた。
1965年4月20日、彼は突然、スペインの>>続きを読む
かつて社交界で羽振りをきかし、今はアル中となって、療養所で暮らすアラン。
彼はすでに死に取り憑かれ、2日後に自殺することを決意していた。
そして、その2日間、アランは、かつての知人たちを訪れるが、孤独>>続きを読む
1945年、第二次世界大戦末期のイギリスのジャージー島。出征した夫の帰りを待つニコル・キッドマン扮するグレースは、広大な屋敷で二人の子供と暮らしている。
子供達は、極度の光アレルギーで、屋敷の窓とい>>続きを読む
この「恋のエチュード」は、女性の心理と生理をデリケートなタッチで、フランソワ・トリュフォー監督が描いた心理小説的味わいの作品だと思います。
この映画「恋のエチュード」は、フランソワ・トリュフォー監督>>続きを読む
1960年代、三船敏郎(東宝)、石原裕次郎(日活)、勝新太郎(大映)、中村錦之助(東映)ら 筆頭に、日本の大手映画会社のスターたちが相次いで独立し自身のプロダクション、いわゆるスタープロを設立。
三>>続きを読む
ヒーローものといえば、アメコミ原作全盛の昨今。
しかし「キングダム 見えざる敵」で名を上げたピーター・バーグ監督によるこの映画、「ハンコック」は、アメコミを原作に持たないオリジナル脚本の作品だ。
ま>>続きを読む
このジョン・フォード監督の「三人の名付親」の原題は、「3GODFATHERS」で、フランシス・F・コッポラ監督の名作「ゴッドファーザー」が公開される24年前、1948年の映画で、ウィリアム・ワイラー監>>続きを読む