有名な結末については置いておく。
大英帝国史として観ると、面白さが倍増する。原作は1934年に発表されているので、第一次大戦後の世界再編が響いている。オスマン帝国の崩壊、ユーゴスラビアの独立、イギリ>>続きを読む
『その日のまえに』『長岡花火物語』『野のなななのか』と続いて、観客に「ふるさと」の深層と暴力性を見せつける。ふるさとの土を少し掘れば、そこには戦争がこだまする。
普通なら唐津の風景をそのまま使うが、>>続きを読む
この映画は映像美とか映画的手法とかどうでもよい。歴史改竄に対して戦うことの重要性のみがテーマ。あったことをなかったことにはできない。
結末を知っていても、あの裁判官の一言にはゾッとした。対照的に、記>>続きを読む
英連邦体制と、宇宙人の全体主義体制の並列なのね。英連邦も植民地(コロニー)の連結から成り立ってたわけだしね。
その崩壊過程のしわ寄せを、国民、特に若い人たちに負わせたことでイギリスは疲弊していく。そ>>続きを読む
ロシア国内の愛国心を批判していて、よかった。異なるものへと耳を傾けないと、人は生きていけないのよ。
なんでもかんでも異質なものを攻撃するとは、愚かなり、人間。
抵抗の拠点を物質性に求めていて、面白かった。例えば『攻殻機動隊』シリーズでは草薙素子がデジタル世界に融合することでシステムから逃れようとしていた。対して、この映画ではデジタルデータではなくマテリアルに>>続きを読む
みんな偽者。
日本人になりたい月上。
月上が嫌になり朝鮮人になりたい秀子。
秀子の資産を狙い、日本人に扮して彼女に近づく朝鮮人の藤原伯爵。
藤原伯爵と一緒に秀子を罠に嵌めようとメイドに扮するスッキ。>>続きを読む
前半はブートキャンプ(新兵訓練)。ぽっちゃりのレナードは柔和な笑みをバカにされるが、ブートキャンプ卒業までにその顔は「立派な殺し屋」に仕立て上げられる。
教官を殺す技術と度胸は、まさにその教官がレナ>>続きを読む
おそらく元々ダニエルは保守的な人間である。しかし新自由主義下の人口統治ではイデオロギーや旧来的な寡黙で従順な人間像などどうでもよい。そこでは正義も考慮せれない。
あるのはシステムにとっての成功か失敗>>続きを読む
「疑心暗鬼を生ず」という故事成語そのもの。
最後に祈祷師が写真を撮るのと、箱の中に沢山の写真を入れていたのは何だったのか。
三人とも祈祷師でそれぞれに悪霊を払おうとしていて、彼らもまた疑心暗鬼に陥>>続きを読む
最後に出てくるが、これ、実は背後にイラン・コントラ事件がある。レーガン政権下のCIAがイランイラク戦争にあるイラン(当時アメリカの敵対勢力)に極秘裏に武器を輸出し、その利益による資金を使ってニカラグア>>続きを読む
犬の名前がtracker(追跡者)なのね。
そして犬の死には感情的なのに、不法移民を殺すのは躊躇しない。動物以下ということ。
南部の白人が、自国領土と同一化して、排除の対象とするのは、いまやメキシ>>続きを読む
地上版惑星ソラリスって感じ。
形式が内容を決定するが、しかしそれはノンリニアな関係だと。
ポスト構造主義的といえばそうかも。構造は確かに外在性・拘束性をもつが、歴史的な可変性があり、しかも行為遂行>>続きを読む
イギリス郊外。
北アイルランドで任務に就いた経験のある元海兵隊の老人が、若者チンピラに復讐する話。
あまり社会構造に触れない。全体的な印象として、犯罪を単にチンピラの若者の個人性に還元してしまってい>>続きを読む
背後にあるのは、19世紀末からの形質人類学。
人類学的な知にとって重要なのは「人種・民族」を確定することであり、それを殲滅・滅亡させることではない。むしろ特定の人びとを人種表象と空間にのなかに閉じ込>>続きを読む
主人公の名前がコンラッドだしね。ジェームズ・コンラッドの小説『闇の奥』があり、それを下地にしたコッポラの映画『地獄の黙示録』の要素が散りばめられている。クルツ(カーツ大佐)は、パッカード(サミュエルL>>続きを読む
システムはAIによって構築されたもので、その中身については研究者も把握していないという設定は今日(未来)を的確に捉えている。システムへの外部からの侵入ではなく、内的な発展が破滅への道になる。
しかも>>続きを読む
R.I.P. ロメロ
冒頭、1968年の年号の後に鉛筆に刻印された「black beauty」の文字がアップになるシーンがある。これは明らかに黒人解放運動を意識してるよね。その後にはなんの言及も関連>>続きを読む
『ワンダー・ウーマン』を観るならこっちも観るべし。ちょうど同じ時代。
女性参政権獲得へ向かう物語。
かつて黒人への差別を告発したキング牧師が主張したことが思い起こされる。デモや抗議をするのは、差別>>続きを読む
イギリス軍のダンケルク(仏)における撤退を描く。
三つの時間軸を違和感なく凝縮した表現は圧巻としか言いようがない。セリフも少なく音響と映像だけが際立つ。
ただそれ以上に何があるかと言われれば、何も>>続きを読む
誰もいないバーに入っていくシーンは、キューブリックの『シャイニング』へのオマージュですね。隔離された空間で徐々に正気を失っていくのも似ている。この映画では主人公が、寂しさからある女性乗客冬眠ポッドを開>>続きを読む
最初の空港のシーンで流れる音楽の歌詞がその後を予感させる。帰る家は、屋根もなく、ドアも窓もない。船が安全に停泊できる港でさえない。雨が降れば水浸しになるのだと。安全でも平穏でもないのだと。
ほぼ全編>>続きを読む
でました「父殺し」!
ギリシャ神話(オイディプス)以来の普遍的テーマでした。『スター・ウォーズ』とかもそうだけど。
仲間の多様性 vs. エゴの唯一性の戦いでもあり、そこもなかなかよかった。主要チー>>続きを読む
せっかくタイトルがグレートウォールなのに、なんで最後の決戦が首都やねん!!
「火薬の発明」と「エイリアンの侵略阻止」を行う中国と、火薬(武器=知恵)を求めてきた西洋人が一体となって外敵(エイリアン)>>続きを読む
最初に毒ガスを作るのはドイツのフリッツ・ハーバーで、第一次大戦で初めて実戦で使用された。
第一次大戦が初めての植民地を巻き込んだ人種戦争だったのも映画で示唆されている通り。
本作はその時代を背景に>>続きを読む
原題は「釜山行き」。これは朝鮮戦争で北朝鮮軍に追い詰められたことを想起させるのではないかと言われていますが、そうだとすると非常に複雑。というかそれなら破綻している(いい意味で)。というのも本作では何か>>続きを読む
新外交で世界外交を刷新する米大統領ウィルソンはまた、スターリンの民族自決を横取りする形で民族本位の国家群による世界体制を構築し、ヴェルサイユ条約で欧州分割を推し進めた。それは列強による世界分割の新しい>>続きを読む
「追」ができない体験ってのがある。そして生き残った人の話から知るしかない。戦争、しかも最前線とはそういうものの最たるものだ。政治史や軍記ではない物語は一人ひとりの生死を語る。
兵士の個人名がたくさん>>続きを読む