ななしさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ななし

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麦秋(1951年製作の映画)

4.5

いやはや、見事。

言ってしまえば、「28歳になる長女に持ちあがった縁談を軸に鎌倉の間宮家を描くホームドラマ」でしかないのだが、上品なショットの連続が心地よく、(お笑い用語で言うところの)天丼的な掛け
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

4.5

お、おもしれ~!!!!

「もし飛行機が不時着した先がテロリストが支配するやばい村だったら」という設定から期待される”おもしろさ”の水準をきちんと超えてくる。こういう”きちんとした”ジャンル映画を劇場
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

激烈なあげまんの話ってことでいい?

飽くなき領土的野心に憑かれたナポレオン(ホアキン・フェニックス)の半生を、最愛の妻・ジョセフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)との関係性を軸に描く。支配/非支配が入れ
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サイコ(1960年製作の映画)

4.5

映画上手すぎワロタ。いや、ワロタとかではなく、ほんとうに「演出の奥義」とでも言いたくなるテクニックの釣瓶打ちでめちゃくちゃ怖いサスペンスに仕上がっているし、同時に死ぬほど勉強になる。

ヒッチコック映
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切腹(1962年製作の映画)

4.5

あまりに構築性が高く、映画の結晶体のような130分に惚れ惚れする。

大坂の陣から数十年、徳川太平の世を謳歌する時代。
井伊家の江戸屋敷に老浪人・津雲半四郎(仲代達矢)が訪ねてくる。半四郎は切腹をする
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ゼロの焦点(1961年製作の映画)

4.0

原作既読。けっこうなページ数があったはずだが、90分ちょっとでまとまるのかよと思っていたら、脚本の整理と超絶テンポの良さのおかげで、見事におさまっていた。慣れるまで最初のほうはあまりの早さに面食らうほ>>続きを読む

セブン(1995年製作の映画)

4.5

「驚愕のラスト」はそこまで驚愕しなかった(てっきりもうひとつどんでん返しがあると思っていた)が、それでも心をえぐり取るような鮮烈な結末は素晴らしい。

舞台はアメリカのとある大都市(明言されてない?)
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(1954年製作の映画)

4.0

なんて救いのない映画だ……。

粗暴な大道芸人・ザンパノ(アンソニー・クイン)はある日、純粋無垢で無知な女・ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を彼女の母から安値で買い取る。
ザンパノはジェルソミ
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太陽がいっぱい(1960年製作の映画)

4.0

同じくアラン・ドロンの『冒険者たち』は良さがいまいちわからなかったが、本作は楽しめた。フランス映画苦手かも……と不安になったが、杞憂でよかった。

貧乏な主人公・リプリー(アラン・ドロン)はイタリアに
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冒険者たち(1967年製作の映画)

3.0

なんだろう、いまいち乗り切れずぼーっと観てしまった。フランス映画に慣れてないからかな。近日リベンジ予定。

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

5.0

オールタイムベスト級。というか人生でいちばん好きな映画かもしれない。ラスト30分のブーストが凄まじく、ラストシーンは我慢できずにボロボロ泣いてしまった。

善良の小市民であるジョージ・ベイリー(ジェー
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愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)

4.5

いかにもな邦題と劇伴で誤解するが、本作を単純に「ラブストーリー」とのみ括ってしまうのは作品の大切な本質を見落すことになる。

少なくとも途中までは士官候補生学校の学生──つまり、未来のエリートたちが鬼
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.0

政府高官や軍の偉いさんに陰謀論者がひとりでも混ざると最悪、人類が滅亡するかもしれない。そんな教訓を教えてくれる映画。

我が国でも「保育園はコミンテルンが日本の家族制度を崩壊させようとする陰謀」みたい
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戦場にかける橋(1957年製作の映画)

3.5

東南アジアで日本軍の捕虜となった連合軍兵士たち──その代表たる英国人将校が、捕虜を鉄道用橋建設に動員しようとする日本人将校と対立しつつ、一緒に仕事をする間に敵味方を超えた共存関係を結んでいく──という>>続きを読む

デーヴ(1993年製作の映画)

4.5

「大統領と見た目がそっくりな中年男性が入れ替わる」というチャップリンの『独裁者』的なプロットで、ほどよいツッコミどころを残しつつラストは存外に清廉な着地を見せる秀作。

そもそもの設定から無理があるの
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ウォール街(1987年製作の映画)

4.5

とにもかくにも、マイケル・ダグラス演じる強欲な投資家、ゴードン・ゲッコーが良すぎる。「悪のカリスマ」と呼ぶしかない魅力をビカビカ放ちまくっており、監督のオリバー・ストーンの意図とは正反対に、彼に憧れて>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

4.0

芥川龍之介の原作「羅生門」「藪の中」は既読。ぶっちゃけ話のほとんどは「藪の中」より来ているが、人間の剥き出しのエゴを描いた「羅生門」の要素を付け足すことで、本作に太いテーマが1本通っていると感じた。こ>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

5.0

原作未読・アニメ未聴の"鬼太郎弱者"でしたが、見事にボロ泣き。年末近くのこの時期にまさかの伏兵でした。パンフレット売り切れでこんなにも嘆くことになろうとは……。

血液銀行に勤める"水木"と、妻を探す
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(2023年製作の映画)

3.5

「男色×バイオレンス×騙し合い」という特濃の味付けで戦国時代のターニングポイント「本能寺の変」の前後を描く。

どいつもこいつも下衆かつ悪趣味丸出しで、「侍」「武士」といったものへの幻想を徹底的に剥奪
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.0

「家を飛び出した令嬢と新聞記者が長距離バスで隣席に乗り合わせたことがきっかけで恋に落ちる」という設定は20年後の名作『ローマの休日』に少なからぬ影響を与えているように思う。また、ラストの結婚式からの花>>続きを読む

大脱走(1963年製作の映画)

4.0

3時間近い尺のすべてが「脱獄の準備をして実行する」だけに当てられているが、強靭なプロットと各脱獄のスペシャリストの個性とキャラクター同士の絆により、まったく飽きることがない。

何度も脱獄を成功させた
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ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

4.5

初見のつもりだったけど、いくつか覚えのあるシーンがあったので、どこかで観ていたのかもしれない。

田舎町で暮らすギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)は重度の知的障害を持つ弟のアニー(レオナルド・デ
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スティング(1973年製作の映画)

5.0

おいおいめちゃくちゃおもしれえじゃねえか!

詐欺師が活躍するコンゲームものはメディアを問わず現在進行形で大量につくられているが、先駆者である本作がいまなおフレッシュな魅力を放ちつづけているのは驚嘆に
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ラストサマー(1997年製作の映画)

3.5

ジャンル的にはスラッシャーホラーに分類されるらしいが、怖いのが苦手な身でも楽しく観られる範疇。

高校の卒業パーティーでハメを外した男女4人が不注意から車で人を撥ねてしまい、そのことを隠蔽するが、1年
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ビッグ(1988年製作の映画)

4.5

鑑賞中、絶対に触れたいこと(映画とは直接関係がない)があったんですけど、失念してしまった。思い出したらあらためて感想書きます。とりあえず、おもしろかったです。

狼たちの午後(1975年製作の映画)

4.0

信じられないくらい無計画の銀行強盗3人組(1人はソッコーで逃げ出す)が案の定、あっという間に警察に包囲されるが、いつの間にか「権力」へと反発する市民たちから熱狂的に支持をされていく──というお話。>>続きを読む

ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

4.0

ロードムービーの佳作。「保釈保証業者」という日本では馴染みのない仕事が重大な設定として出てくるので、その点だけ事前に調べておくと吉(調べなかったので序盤のやり取りが少し意味がわかりづらかった)

元刑
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刑事ジョン・ブック/目撃者(1985年製作の映画)

4.0

お手本のような三幕構成で、それぞれの「幕」で物語のペースが大きく変わることが特徴。

第一幕はアーミッシュの少年・サミュエル(ルーカス・ハース)がたまたま警官による警官殺しの現場を目撃してしまい、捜査
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市民ケーン(1941年製作の映画)

4.5

本作の鑑賞日にたまたまラジオ「ハライチのターン」を聴いた。その中で結婚発表したハライチの岩井さんが「これまでは自分のことを好きな人が好きだったけど、(結婚相手の奥森)皐月はそうではなかった」(大意)み>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.0

いまとなっては本格ミステリの定番モチーフとなった「交換殺人」を扱ったヒッチコックのサスペンス。というか、レイモンド・チャンドラーが脚本を担当しておりびっくり。

「交換殺人」ものといえば、「完璧と思わ
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麗しのサブリナ(1954年製作の映画)

4.5

毎度のことながら、ビリー・ワイルダー映画のお手本のようなテンポの良さと上品なユーモアには惚れ惚れする。

お屋敷の運転手の娘・サブリナ(オードリー・ヘプバーン)は大富豪であるララビー家の次男・デイビッ
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正欲(2023年製作の映画)

5.0

鮮烈すぎるラスト。エンドロールが流れた瞬間、思わず「おお……」と思わず声が漏れた。幕切れの素晴らしさだけでは生涯ベストクラス、全体を通しても今年を代表する傑作邦画であることは間違いない。

さまざまな
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ローマの休日 4K レストア版(1953年製作の映画)

5.0

冒頭、アン王女(オードリー・ヘップバーン)が過密な公務に飽き飽きしていることを、舞踏会の最中ドレスのスカートの中で靴を片方脱ぎ足を掻いているという描写によって、セリフなしで見事に表現している。最近、某>>続きを読む

殺しの烙印(1967年製作の映画)

4.0

「ジョン・ウィック」の先祖みたいな映画。「殺し屋ランキング」ってなに。

絵づくりがアバンギャルドかつ編集のリズムが独特(唐突?)なので、慣れるまで物語に集中するのは難しい。まあ、ただ殺し屋同士が殺し
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

5.0

3回目の鑑賞。ほとんどのシーンが会議室で展開される「密室劇」の金字塔として、後世の作品群に影響を与えまくっているが、観れば観るほど脚本と演出の凄さを再発見させられる。

ナイフや眼鏡などの重大な手掛か
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北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

3.5

いい作品ではあるのだが、やや食い足りない。せめて100分くらいあったらもっと感動できた気がする。とはいえ、いまの70分という尺が世界観にぴったりな気もするので悩ましい。

「動物が訪れる百貨店の新人コ
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