池田敏春ならではのエログロ含め「天使のはらわた」シリーズでは異色の一作。
官能的・恍惚的といった要素は減じている一方、奈美を追う村木の狂気性・変態性、さらにはもはや「汁」としか表現できないような生々し>>続きを読む
夫を殺された海女の復讐譚。
そして反原発大量殺人作品。
幻想的な世界の中で燃え上がる女の怨念。
凄まじい映画というのは本作のようなものを指すのだろう。
物語の構造自体はありふれたもの。
だが、映画と>>続きを読む
叙情詩的・官能的で繊細かつ色彩豊かな世界の中で、対極になりそうな要素であるエログロを暴走させ、ケレン味たっぷりの演出をぶちこみ、映画的カタルシスも生み出してしまう。そんな世界を構築できるのは、池田敏春>>続きを読む
池田敏春と石井隆という独自の世界観を持つ鬼才同士の濃密な時間と空間が融合した蒸せ返るような傑作。冒頭の海に飛び込む場面と、ラストの土砂降りの大雨の中で屋上から飛び降りる余韻たっぷりの円環構造。線香花火>>続きを読む
警察学校を卒業してから、ずっと潜入捜査。
トニー・レオンの孤独が身に染みる。
チョウ・ユンファは相変わらず。
食堂、倉庫、病院、霊安室。
火薬と弾薬がこれでもかと飛び交う、見事なエンターテイン>>続きを読む
無垢な女と子供。
それらを守ってこその男。
立場は違えど、芯で通っているのを観客は知っている。
だからこそ、2人が友情で結ばれるシーンに感動してしまう。
香港ノワールとジョン・ウーの最高傑作。>>続きを読む
葬式からの復讐劇までの映画的カタルシスが凄まじい。
圧倒的な弾薬の数、手榴弾や日本刀までも飛び出してくる。
ライターの火を吸いこもうとするチョウ・ユンファが印象的。
アメリカ人に「米をナメんな!>>続きを読む
前半のBL描写があるからこそ、時を経てもうあの頃には戻れない男たちの悲哀が色濃くせり上がってくる。
気恥ずかしいくらい情感たっぷりに描く非道な世界。繰り返し流れるテーマ曲の哀愁。男にとって大事にしな>>続きを読む
クローネンバーグは肉体から精神へと興味が移ったのか。「危険なメソッド」「コズモポリス」といった近作同様、精神を病んだ人々が集うハリウッドを皮肉ったゴシック調のブラックコメディ。
物語自体に大した魅力>>続きを読む
「多様性」がトレンドのハリウッドで、女性が主人公かつ多国籍なスターキャストが集結した本作は、だからと言ってキャラクターや作品にジェンダー的・人種的な何かを背負わせることは全くなく、あくまでもゴージャス>>続きを読む
夢を追いかけながら生きる人は輝いている。けれども、その輝きには年齢制限があり、どこかで諦めや妥協や踏ん切りをつけないと、その姿は惨めで滑稽に写ってしまう。太賀が演じる口だけ達者なミュージシャンの男は、>>続きを読む
ケイパーもののクラシックであり、影響を受けた作品も多々ある傑作。一連の犯行の準備、計画、実行、そして破滅に至るまでを、まるで神の視点から実況するようなナレーションを挟みながら、綿密に描いていくからこそ>>続きを読む
オープニングがいい。殺人を犯す側の主観視点で2階へと登り、マスクを付け視界が遮られ、殺しが行われる。この殺人犯の正体が判明した時の驚き。恋人ではなく、実の姉を殺すことを選択する幼き弟。それはイチャつい>>続きを読む
カート・ラッセルはいい役者だなと再確認。ルール説明を手早くこなし、後はその世界観にカート・ラッセルを放り込むだけ。眼帯をし、それほど強くないにもかかわらず、その気だるさが画になる役者。
ラストのテ>>続きを読む
個人的には『エイリアン』級の大傑作だと思う。まるで意志があるかのような犬の不気味なインサート。そこからの見事なモンスター造形。それでいて疑心暗鬼を火種とした、人間の内なる恐怖も見事に描き出す。密室した>>続きを読む
『マッドマックス』的な世界観の中に、首狩族のようなものがいる設定。徹底的にエンターテインメントに徹している所が良い。ドラムのビートが鳴り響くアクションシーンが最高。そう見ると「幽霊」たちのボスのメイク>>続きを読む
ダルトントランボのシナリオは、旧来の歴史劇に顕著であったキリスト教的な善悪の対立ではなく、被征服者が国家への反逆を通して個の尊厳を取り戻す過程に主眼が置かれている。
一方、キューブリックの演出は、ダ>>続きを読む
球、円、弧、回。至る所に散りばめられた丸のイメージが、HALの赤い灯に、デイヴィッドの瞳孔に、スターチャイルドの瞳に収斂していく。
そのイメージと対照的な黒々と角ばったモノリスとが一直線上に並ぶ構図>>続きを読む