べさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

万引き家族(2018年製作の映画)

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再視聴。
疑似家族って映画においても小説においても成長を促す装置であるはずなのに、『万引き家族』では疑似家族の存在がむしろそれぞれの成長の停滞を引き起こしている様に思う。疑似家族を用いた成長物語という
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憎しみ(1995年製作の映画)

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『タクシー・ドライバー』や『トレイン・スポッティング』を彷彿とさせるような絵面や設定ながらも、内容としては当時のフランスにおける移民問題に深くまで踏み込んでいる作品。
ヴィンツの呆気ない死や、銃を手に
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

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ミュージカル映画は未見ゆえの抵抗があって全く触れていなかったのだけれど、いざ観てみると意外と違和感を感じなかった。
甘ったるい恋愛ミュージカル映画かと思いきや、意外と恋愛の盲目性を俯瞰的に捉えた作品と
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シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

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再視聴。
初めて観た当時から今作における第1形態のゴジラが異様に怖いと思っていたのだけれど、その恐怖の根底には「目線」が関係していると気付いた。基本的に特撮における怪獣はビルよりも背が高い存在であった
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千年女優(2001年製作の映画)

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最後の場面が最も衝撃的且つこの作品の山場であると言える。
このラストシーンを衝撃的なものとして描く上で、千代子の「女優」という属性や物語の進行が彼女の記憶を追体験するという極めて一人称視点的なものであ
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

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所々にややフェミニズム的な説教臭さを感じる作品ではあるが、当時のアメリカにおける男性優位的な思想に対するアンチテーゼとして中々有意義な作品だと思う。
しかし流石リドリー・スコットといった所か、空間やア
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セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

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再視聴、という事で作品の感想としてやや俯瞰的なアプローチを。
「セーラー服」という記号と「機関銃」という記号の結びつきにはどことなく昨今の日本アニメに通じるものがあると思っていて、例えば、今ではある種
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イノセンス(2004年製作の映画)

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例えば当時の映画ってエヴァやガンダムの影響が全体的に強くて、少年の拡張身体として「ロボット」という存在が大きかったと思うのだけど、押井守の描く人間の拡張身体ってあくまで人体の延長線上にあって、尚且つ人>>続きを読む

ワーキング・ガール(1988年製作の映画)

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トラスクの立場が示し続ける男性優位性が覆っていない事や最後にマクロな視点を提示し「テスは成功者の内の1人に過ぎない」と暗示するかの様な表現を見る限り、女性の社会進出やアメリカンドリームの表象の様に見え>>続きを読む

希望の国(2012年製作の映画)

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この作品にもまた『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『LIFE IS BEAUTIFUL』のような「息子の理解の及ばない親の愛情」が描かれている。それ故に上述の二作品でも度々見られた「救いがない」といった>>続きを読む

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

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少年少女の美しい青春群像劇。小学生特有の背伸び感やマセガキ感、観ていてどこかくすぐったい心地になる様な、懐かしさを感じる様な物語。
所謂「ループもの」の構成をとっているこの物語だが、このループを引き起
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私が、生きる肌(2011年製作の映画)

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人体改造、近親相姦、母体回帰、エディプスコンプレックス、などといった様々な道徳的禁忌に触れている作品。この作品を世に送り出せたこと自体が奇跡とも言えるのでは。
余りにも論じるテーマが多すぎるので中でも
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

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原爆を題材にしながらもどこかユーモラスなシニカルな雰囲気を孕んでいる作品というと『博士の異常な愛情』を真っ先に思い浮かべるが、この作品はある種の和製『博士の異常な愛情』とも言える。そもそもラストシーン>>続きを読む

ダイ・ハード(1988年製作の映画)

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権威や財力の表象としての高層ビルに反社会的なものの表象としてのテロリスト達が登っていくものの、最後はそのテロリストがビルから落下するというあからさまな記号によるプロパガンダとも言えるような作品(笑) >>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

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端的に言えば『タクシードライバー』という骨組みに『キング・オブ・コメディ』で肉付けしてバットマンシリーズの記号を当てはめた様な作品。思った以上に上記の二作品及びマーティン・スコセッシの影響が強く出てい>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

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『ジョーカー』のために再視聴。
この作品がどのように『ジョーカー』と結びつくのだろうと考えたが、トラヴィスが鏡に向かって話しかける場面や家族や周りの人間に嘘をつく場面、急に髪型を変える場面などから見て
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(1990年製作の映画)

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「夢」をモチーフにした8つの短編から成るオムニバス形式の作品。大学の講義で5つ程視聴したので残りの3つも視聴。
夏目漱石の『夢十夜』の冒頭を引用したカットからそれぞれの短編が始まるという形式で、8つの
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あこがれ(1958年製作の映画)

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端的に言ってしまえば好きな女の子にちょっかいかける男の子達を描いた物語。というかこのアプローチって全世界共通なんだな(笑)
この物語の語りは大人になった少年らの内の誰かによるものであってこれが最も重要
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

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大学の課題で再視聴。
初めて観たのは大分前で単純なサイコホラーとして観ていたのだが、心理学や物語論に関する知識をある程度蓄えた状態で観返すと新たな発見が中々多くて面白い。
しかしここまで当時の女性性の
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山の音(1954年製作の映画)

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昨年に一度観たものの、監督が小津安二郎だとずっと勘違いしていた。原作である川端康成の『山の音』を読了した為に再視聴。
原節子が美しいのは何度観ても変わらずだが、小津安二郎映画に毒されている身としては義
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ハードコア(2015年製作の映画)

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一人称視点に徹底したカメラワークで、物語の内容を考慮するとある種FPS的な視点だと言える作品。普段からゲームをするような人は大丈夫だと思うが、こうしたカメラワークに慣れていない人は画面酔いするのでは(>>続きを読む

カフカ 田舎医者(2007年製作の映画)

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カフカが様々な作品で描こうとしていたアイデンティティの崩壊や自己の境界の揺らぎなどを視覚的に上手く表現出来ていると感じた。
例えば線や輪郭などの本来のアニメーションであれば揺るがない、不変である筈のも
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

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音楽と物語の親和性が高く、例えば本来はシリアスである筈の銃撃戦の場面で銃声や爆音がBGMのリズムに沿っていてどこかコミカルな雰囲気を演出していた。最早ある種のミュージカル映画と言えるのではないだろうか>>続きを読む

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

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当然賛否両論ある訳だけど、3作目として中々良い作品だったかと。
まずはジョン・ウィックシリーズの醍醐味であるアクションシーンだが、これはとにかく最高。ロケーションやシチュエーションが毎回異なっていて飽
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The Pursuit(原題)(2008年製作の映画)

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誰も観てない映画を観たいというあまりにも不純すぎる動機で視聴。(たまたまamazon primeにあった)
まぁ確かにpursuit、ひたすらにしつこすぎるほどにpursuitだった。
というかこれそ
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ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

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こちらは初視聴。
彼の中の行動の動機が前作に引き続き一貫しているのが良い。
アクションシーンは前作同様、むしろそれ以上のものを提示されたので文句なし。

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

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パラベラムのために復讐(復習)。
クラブのシーン、スタイリッシュすぎるの一言に尽きる。
というかこの作品5年前だったのか...

アンジェラ(2005年製作の映画)

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リュックベッソン作品の中では『レオン』に次いでこの作品が好き。
白黒の筈なのに彩色が分かってしまう様な色彩表現や、スタイルの良い女性と低身長の主人公というバランスの悪さ。物語としても伏線等が素晴らしい
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

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米ソ冷戦下に作られた作品の筈だが、アメリカがソ連に「アメリカ軍の爆撃機を撃墜してくれ」と懇願するというのはなんという皮肉。
ピーター・セラーズによる一人三役というチャレンジングな配役も、それぞれのキャ
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グリーンブック(2018年製作の映画)

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劇場で観た時には『最強のふたり』の記号を反転させただけのように感じたが、改めて観ると全く違うな、と。
そもそもこの物語の大筋は往還によるビルドゥングスロマンであって、その時点から『最強のふたり』とは大
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めまい(1958年製作の映画)

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『北北西に進路を取れ』についてのレポートのために再視聴。

ラン・ローラ・ラン(1998年製作の映画)

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20分というタイムリミットの中、彼氏を救う為にひたすら走り続けるローラの物語。つまりたった20分の出来事が描かれているだけの物語。
ドイツにも日本のセカイ系的な少女信仰があるんだなと思わされる作品。し
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くもとちゅうりっぷ(1943年製作の映画)

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今の日本のアニメーションにとっては当たり前のような立体表現や雨の描写など、それらを当時のテクノロジーや人員でここまでのクオリティで描けるのは素直に驚き。
ましてや1943年という戦争真っ只中の年にこの
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