ライラックさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ライラック

ライラック

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ストーカー(1979年製作の映画)

4.7

神聖なゾーンに漂う謎の霊気
エゴや欲望が葛藤と死の予感を感じさせる
絶対目標(部屋)を抽象化し人間の本質を
浮き出す精神世界は1つの集大成

ルブリョフの一つのテーマ「三位一体」
ソラリスや鏡で強く反
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(1974年製作の映画)

5.0

記憶と夢と現在の三要素の交錯
モノクロとカラーで表される内省的な物語

視点や時間軸の切り替えが複雑ながら
内面世界を表すイメージがとても美しい
ブリューゲルやフェルメールを意識した映像に驚きました
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.9

ソラリスの物質化はSF 的で神秘的
多義的な要素が目的やテーマすら変化させるのが面白いです
心象風景に葛藤や救済を表し
さりげない宗教色で重さを演出

「鏡」や「ノスタルジア」に
通じるイメージや思想
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アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

4.0

紛争や飢餓に苦しむ時代背景と
芸術と信仰の狭間での葛藤と沈黙
監督らしさ全開です😃

叙情的な鐘の音が象徴する精神的解放に
カタルシスを感じます♪

大群のタタール人による迫力が凄い
荒々しく直接的な
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僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

-

監督の長編デビュー作
他の監督が1度失敗した企画を
引き継ぐ形での制作らしく低予算ですが
過去と現在を交錯させコンパクトながら
深いドラマを作り出す手法が素晴らしいです

夢や記憶による平和や幸福のイ
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ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)

-

ヴァイオリンとローラーが象徴する芸術と労働
印象的なリフレクションや
台詞に頼りすぎない心象描写に作家性を感じます
「赤い風船」の影響を受け制作された作品で
色彩による主張が強めですが
少年の心の動き
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熱波(2012年製作の映画)

4.9

統合失調症と思われる老婆の過去の回想
アフリカを背景にモノローグで語られる
映像が独特な雰囲気で拘りを感じます
秘めた思いや妄想による暗示
淡々とした語りに虚無感がじわっと伝わってきます♪

快楽主義
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.7

若さの象徴のような幻影と
年増の配役の間で苦悶する姿が異常です
酒をあおり暴走気味に緊張の渦を
巻き起こす様子が破滅的で危うい
凄まじい不穏な空気が画面を
突き抜けて伝わってきてゾクゾクしました

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第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)

4.7

揺らぐ水面と風光明媚な風景
ティルトアップで撮らえた雄大な峡谷
冒頭から映像美に魅了されました

古い風習による苦悩
男尊女卑を感じさせる背景に自由意思を
持てない女性達が物悲しい
台詞以上に物語る表
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

4.7

半ば強引さすら感じる長回しと
緻密な撮影設計に驚かされました!
ロングデイズに共通する時間軸の
歪みや幻想性が面白かったです

走り抜ける電車の幻影から
チェンの微睡みへの繋げ方が
とてもオシャレで印
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

4.5

前作までのヌーベルを意識した
ゴダール感全開の作風と違い
独自の色使いや芸術が表された作風
素晴らしいです♪
画面の作り方や美しい構図に
ストラーロの影響力を強く感じました♪

この時代のイタリアに
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プッチーニの愛人(2008年製作の映画)

5.0

プッチーニの妻が起こした一大スキャンダル
イタリア人監督らしいテーマと独自の解釈

伊達男で様々な女性と浮き名を流す
プッチーニのイメージとは真逆で
気品と静寂と共に画かれた作風は
ゲリンを彷彿とさせ
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カストラート(1994年製作の映画)

4.7

美の代償!ファリネッリの伝記映画
兄弟の秘められた闇を包み込む
美しい歌声に感動しました
ピアノじゃなくチェンバロやオルガン演奏に
バロックを感じます
兄弟の明暗が暗示させるヘンデルのアリアと
カット
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

ゆる~くポップな表現にブラックな
反戦へのメッセージを感じました
自由の象徴がゆるいダンスなのが面白かった

若干ウェス・アンダーソン♪

インディア・ソング(1974年製作の映画)

4.0

役者に語らせずナレーションで
展開させる手法が独創的
ゆったりした流れに眠くなりますが
変人(元副領事)の魂の叫びに睡魔が吹っ飛びました
姿が見えない物乞い女性の歌声
エキゾチックな雰囲気が良かったで
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.7

夢でしか逢えない儚さと幻想的な感覚が面白い
物語が進むにつれ輪郭が薄まるような感じ

ラケット回して飛んだり・家回したり
難解な表現も多いですが
記憶と幻想が混ざりあった夢の描写が凄く良い

長回しと
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帰れない二人(2018年製作の映画)

4.0

作中での歳月と過去作品の映像やオマージュ
二つの要素で時の流れを表す手法が凄い
音楽やダンスで時代を感じさせるのも監督らしい
移り行く社会情勢と
ヤクザと女の関係性の変化に
無情さと複雑な愛を感じた
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テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)

4.7

妄想や孤立から生まれる狂気
徐々に強まる不信感と緊張が凄い
隣人達の悪魔的描写や自我崩壊する様子が危うい
傍から見ればクレイジーなドラッグクイーン!

【ローズマリーの赤ちゃん】と同様で隣人の醸し出す
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

4.0

不安定な内面を揺さぶり続ける近隣の人々が絶妙に怪しく不快
現実と妄想の揺らぎと人間不振に
ゾクゾクさせられました
オカルト要素による心理描写が素晴らしいです♪

アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.5

アルジェリアの独立運動
フランス軍とレジスタンスの攻防が
ドキュメンタリー風に画かれてます
弾圧の様子やテロリズムが生々しく
不穏と緊迫した空気が重かった
実際の現地で撮影された映像に
リアリティーと
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夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)

4.0

女性の視点で画かれたテロリズム
法王まで動かす社会性の強いテーマに
緊張感がひしひしと伝わってきました
さりげないシューベルトと幻想のイメージや
ピンクフロイトの音楽も良かったです♪

ポケットの中の握り拳(1965年製作の映画)

4.5

複雑な家族関係が生む歪んだ感情
持ち病の発作や兄への劣等感
障害を抱える家族へ向けられる狂気的な衝動
殺人のスリルを楽しむような姿に
深い闇を感じました

アリアの響きが生むエクソシスト
苦悩と絶望の
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映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

4.5

トリュフォーの映画愛に包まれました
連続するトラブルが喜劇的
レオとトリュフォーの共演が最高です
少年期のインサートにバザンの影響と
ウェルズの偉大さを感じました

【君や私のような者には幸福は仕事に
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突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.5

文学や芸術を織り混ぜ少し謎な演出や
軽妙なノリにヌーベルの風を感じました

愛と友情を両立しようとする
健気な姿が印象的
愛が生む衝動と儚い結末が心に沁みます

【村のバカ遊び】凄く楽しそう♪

スローターハウス5(1972年製作の映画)

4.7

最初はタイムトラベルに
忙しさを感じますが気づいた時には
作品に引き込まれてました
ビュンビュン移動するのに
繋ぎ方が絶妙でハイテンポでも
違和感を感じさせないのが凄い
【世界は瞬間の集合だよ】
とい
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ラスト・オブ・イングランド(1987年製作の映画)

4.5

監督らしい同性愛と退廃的な空気
自身の境遇や国への怒りと衝動が合わさって凄まじい映像になっています
ホームビデオや静かな風景描写が
部分的にメカスっぽくて味わいがありました
焚き火・発煙筒・花火などの
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長江 愛の詩(2016年製作の映画)

4.8

難解さ漂う詩的な物語
美しすぎるロングショット♪
芸術的な演出に監督の才能を感じます
リー・ピンビンが撮影する長江の
壮大な映像美に感動しました♪
暗がりの山峡ダムの抽象表現が凄まじい

長江エレジー
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チェチェンへ アレクサンドラの旅(2007年製作の映画)

4.5

芸術よりジャーナリズムが先行した作品
お婆さんの目線が映す軍人キャンプの日常
チェチェン人との穏やかな交流とは裏腹に崩れたアパートや鋭い視線に
戦争の厳しさや見えない壁を感じました
年の差から生まれる
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ファザー、サン(2003年製作の映画)

4.0

互いが全ての濃厚な父子関係
複雑な家族愛や葛藤を淡々と画く手法に
美学を感じました
監督は否定してますがチャイコフスキーの曲が同性愛を連想させる

リスボンの街並みが素晴らしいです

季節の中で(1999年製作の映画)

4.7

蓮池とネオンに照らされるスラム街
群像劇
暗闇で語る詩人の望郷に
儚さと美しさを感じました
スラム街で貧困と共に画かれる様々な愛が痛々しくも暖かい

ローアングルで撮された車輪越しのネオンと会話!あの
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青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

4.5

セット撮影と思わせないベトナムの風景
心地よい風土を感じさせる効果音
軽やかで絶妙なカメラワーク
台詞や起伏の少なさが
作品をより柔らかな印象にします

まったく触れ合わずとも
二人の発展した関係性が
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ベルイマン監督の 恥(1966年製作の映画)

4.5

弱々しい男の豹変ぶりが
戦争の深い闇と恥を感じました
理不尽な尋問や妻の不貞
残忍で自暴自棄になる自我の崩壊と
荒廃した世界が重苦しい
水面を漂う悲愴感と詩的なラストに
反戦へのメッセージを感じました

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.5

不安定な空気が夫婦間を越え親類や友人まで
緊張の渦に巻き込むところが面白いです
表情で語るクローズアップは流石です
退院後の不自然な空気と
親類の細かなリアクションが良かった
クレイジーでも母性や家族
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クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.0

リアリティーの追及から生まれる世界観
型破りで異彩を放ってます
経済格差と映画愛を感じさせる法廷と
マフマルバフとの対面のシーンが印象的
実験性とケレン味の漂う雰囲気が独特です
終盤に表れる理想主義が
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トスカーナの贋作(2010年製作の映画)

4.5

突然始まる贋作のような関係
結婚式を背景に熱を帯びる二人の会話や
ピリついた空気に錯覚が生じて面白い
本物の夫婦と思わせながら
鳴り響く鐘と表情で語る最後が儚く
現実を冷たく感じました

恐らく名画に
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欲望の翼(1990年製作の映画)

4.5

女性を口説く好色な一面と
母の愛を渇望し虚ろな表情
熱しやすく冷めやすい感情が痛々しい

雨や退廃的な空気
揺れる心情・破滅の予感
ウォン・カーウァイらしさに震えた♪

トニーレオン?