nt708さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

nt708

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妻よ薔薇のやうに(1935年製作の映画)

3.1

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成瀬映画の割に結末への共感が得られないのは時代のせいだろうか。

妻と娘を置いて田舎へ出たっきり帰ってこない夫。その夫が向かった先は、かつて芸者をしており、現在は田舎に住む妾。置いていかれた妻と娘から
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

4.8

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旅も人生も目的地が大事と言われるが、それ以上に目的地にたどり着くまでの過程で何とどのように出会うかがいかに大事であるかを本作から思い知らされた。

人生に1度あるかどうかの仲違い。自分が、あるいは相手
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一番美しく(1944年製作の映画)

3.8

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彼女たちの純真が戦争に使われていたということを考えると何とも悲しい気持になる。もっと別の、、何か自分たち自身の幸せに直接つながるような何かにその純真が注がれていたなら、、歴史にたらればはご法度だが、そ>>続きを読む

秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.8

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さすがの一言。

結局大人はな~んにも
わかっちゃくれない。

母親も唯一の友も失った彼だが、
これから東京で力強く
生きていってほしい。

悲しいだけではなく
そういう優しい眼差しが
成瀬映画には必
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(1985年製作の映画)

3.5

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黒澤が作った映像芸術としては傑作に違いないのだろうが、どうも彼の後期作品は好きになれない。映像効果や役者の演技等々、、ひとつひとつのエッセンスは天下一品なのだが、ひとつの「映画」として作品をとらえたと>>続きを読む

女の歴史(1963年製作の映画)

3.9

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成瀬映画の割には物語の展開や演出に多少の強引さは感じたものの、『娘・妻・母』にも共通する女性の女性としての一生を豊かに描いているように感じた。特に、戦前~戦後にかけての時代、女性がひとりの人間として生>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

3.5

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娯楽映画としては十分面白いのだが、どこか物足りなさを感じるのは私だけだろうか。犯人であるトニーがなぜあのような人間になったのか、、両親との関係を紐解けば、少しは想像もつくのだが、それでも説明不足である>>続きを読む

卒業(1967年製作の映画)

2.5

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いつかは観なければ
と思っていた本作。

ようやく観たが
いまいち良さがわからない。

う~ん、、

サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

3.0

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川のこちら側と向こう側。年齢、社会的地位、、格差を抱えた恋愛模様。有り余るパワーのやりどころに困ると云うのは誰にでもあるものだが、バブルで浮かれていたこの時代はなおさらそうだったのだろう。

「生き残
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ケス(1969年製作の映画)

2.5

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登場人物たちに近づきすぎず、離れすぎず、、ケン・ローチが映し出す絶妙な距離感がこの時期から既に完成しつつある。

本作はどの場面を切り取っても観ていて苦しい。正直、こんなに多くの大人が悪いわけないだろ
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野良犬(1949年製作の映画)

4.0

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ずっと観よう観ようと思って後回しにしていた本作。日本の刑事ドラマの礎と呼ばれる所以が良く分かった(ような気がする)。

熱血漢の若手刑事と風来坊に見えて凄腕のベテラン刑事。それを手助けする別部署の刑事
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おかあさん(1952年製作の映画)

4.9

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成瀬巳喜男と水木洋子のコンビはやはりはずれが無い。本作を語るには「母は強し」この一言で充分。人生が喜劇であり、悲劇でもあることを静かに教えてくれるのが成瀬映画の素晴らしいところだろう。モンタージュとデ>>続きを読む

余命10年(2022年製作の映画)

3.0

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良いところはたくさんあるのだが、120分の映画としてはどこか物足りない印象。原作を読んでいないので何とも言えないが、映画だけを観た身として違和感を感じるのは話の展開が恋愛模様に終始しているところ。余命>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.3

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子どもを主人公とする映画はごまんとあるが、その多くが大人の慰めの道具に終始してしまうケースは残念ながら少なくない。その中で本作は子どもを大人と対等に扱い、同じひとりの人間として向き合っている点に好感を>>続きを読む

パリ13区(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

映像としては面白い点もあるのだろうが、映画を物語、あるいは脚本ありきで考える私にとっては、物足りない作品だった。

物足りなさの一番の原因はキャラクター性の弱さではないだろうか。本作には魅力的な人物が
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とんび(2022年製作の映画)

4.3

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こういう家族ものの映画には弱い。自分の子供時代と重なる点でノスタルジーに浸ることができるということはもちろん、自分が父親になったら…と未来に想いを馳せることもできるから涙が止まらなくなる。

山あり谷
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アネット(2021年製作の映画)

3.3

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こういう映画のエッセンスを紐解いて批判的にレビューするのは野暮で好ましくないのだろうが、自分の頭の中を整理するという名目のもと、あえて試みようと思う。

まずタイトルでもある『アネット』が何たるか。最
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.5

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最近、脚本だけでなくカメラワークや構図の勉強を改めてしようと本を漁っているのだが、どの本にも必ず出てくるのが本作のショットである。そのうえ今年のアカデミー賞にノミネートした『パワー・オブ・ザ・ドッグ』>>続きを読む

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

3.2

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うーん、、あの状況であの決断をしたということは彼女たちにとっては永遠の友情を手にしたという意味でハッピーエンドなのかもしれないが、彼女たちにそのような決断をさせた状況を鑑みるとやはり本作は悲劇であるよ>>続きを読む

カツベン!(2019年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

可もなく不可もなく。
それなりに面白かった。

もう少しテンポが良かったら、、

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.7

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クスッと笑えてどこか切ない。ギリシャ映画を観るといつもそんな印象を受けるが、本作もその例外ではない。しかし、この鈍感さ(もちろん褒め言葉)がどこか心地よく、どハマりしてしまうのがギリシャ映画の良さでも>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

原作があまりにも有名である上に、話の展開はシンプル、、そう考えると本作は観客が薄々気がついている結末に主人公が期待通り向かっていく喜劇なのではないだろうか。もちろん酷いコンプレックスを持った人間が金・>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

こういう映画を好きになるとは、自分も少しは大人になったのだと感じる。派手なアクションがあるわけでもなければ、わかりやすい物語のカタルシスがあるわけでもない。それでも自ら本作の良いところを見つけ、感動す>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

宣伝でSNSを全面に押し出しているが、そこを強調することは本作において全くもって本質的ではないのでまずはその点を指摘しておきたい。

それ以上に本作が描こうとしたのは人間にとって善悪という判断がいかに
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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作を読んでいないため、映画としての出来がどうだったかだけ、自分の思うままに記録しておきたい。

まず構成に関して。最後に種明かしをするというサスペンス要素のある映画の常套手段をとっているが、本作では
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

5年前、私がまだイギリスにいたとき。

大学の講義で本作を観て、
自由に議論をする機会が
あったことを思い出した。

何度観ても辛くなるし、
考えさせられる。

語るべきことが多すぎて
ここには書けな
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理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

最近読んだ脚本の指南書で幾度となく引用されていたため鑑賞。正直、文章で読んだときよりもやりすぎなきらいがあり、観客として置いてきぼりをくらっているような印象を受けた。

確かに脚本としては学ぶべきこと
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プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

本作は女性にとっての理想と現実を温かくも残酷に描いた良作である。女性の人生において「仕事」が何を意味するのか。「仕事とプライベート」という二元論的な話ではなく、「仕事」を人生のいちピースとして捉えたと>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観なければ、、と思いながら、ポスターから醸し出される重たい雰囲気に尻込みしていた本作。蓋を開けて観れば、重たいだけではない、バランス感覚に優れた傑作と呼ぶにふさわしい作品だった。

140分とい
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影武者(1980年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

私が敬愛する小説家・三島由紀夫が「歴史上で描かれなかったことが物語の発想の起点となりうる」ということを言っていたが、本作はまさにその代表だろう。武田の栄枯盛衰は状況証拠からして事実と言うにふさわしいが>>続きを読む

夕霧花園(2019年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

またひとつ好きな映画が増えた。

日本庭園のような孤独と美を感じさせる本作。戦争が終わり、主人公が愛した男は自らと自らの妹が連行された収容所を作る手引きをした日本人庭師だった。その事実を知ったときの彼
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トムボーイ(2011年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

タイトルが出るところから本作を観賞するにあたり、赤と青が何を象徴するか考えることが大切だと言うことを無意識のうちに自覚させられる。赤いショートパンツ、、青いワンピース、、赤が女性の象徴であり、青が男性>>続きを読む

夜の流れ(1960年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

私が好きな成瀬と川島が共同監督した本作。演出の系統が異なるふたりがどのような作品を作るのか楽しみにしていたのだが、やはりひとつの作品としてまとめ上げるのは難しかったようだ。良くも悪くもちぐはぐで「変な>>続きを読む

ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

のちに『About Time』で脚本・監督を務めるリチャード・カーティスが脚本、ロジャー・ミッシェルが監督の名作。誰もが一度は夢見る恋愛をありのままに描きながら、その恋愛にかかわる人々の人生模様も描い>>続きを読む

ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

これは面白い!、、と思ってスタッフロールを確認したところ、名画のひとつとして挙げられる『ノッティングヒルの恋人』や昨年日本で公開された『ブラックバード』の監督ということで納得。

テンポの良い会話、カ
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GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

本作は台詞以上に映像が雄弁でワンカットでも見逃そうものなら話の本筋がわからなくなってしまう実に繊細な映画だ。その繊細さはまるで主人公のユーリ、あるいは壊されていくガガーリン団地を象徴しているようである>>続きを読む