以下短評をはじめ、よく長澤まさみの「演技している感」や「毒母の中途半端さ」が指摘されているが、あまりに露骨な毒母はハッキリと拒絶できる。僕が長澤まさみに感じるのは、こう言ってよければ「憎めなさ」だ。僕>>続きを読む
リンチはしばしば天才・鬼才と評されるが、本作は普遍的な主題をあつかい、しっとりと抑えられている印象がある。確かにテンションが最高潮に達するシーンの狂気を感じることはあったが。基本的にはヒューマニストの>>続きを読む
家父長的な父親に怒りを覚えながらも、ふとした瞬間には憎めない姿を見せたりする父親の描写とか、普遍的だなと。1994年10月21日をどのように捉えるのかは調べていい点。
物語の構造とそれに説得力を与える映像を楽しむ作品だ。順再生と逆再生が並存する世界の描写はこれまでにありそうでなく、新しく感じられ、純粋に楽しめた。
しかし、それ以上物語やテーマに特に深い含意を見出すこ>>続きを読む
肖像画には暴力性が備わっている。描く対象その人を所有可能な媒体に落とし込んでしまう暴力性で、言い換えれば描く対象を絵画という表相的な形式に還元することで、その人の固有性を失わせてしまうということだ。>>続きを読む
不条理な悲劇を経験した彼ら・彼女らが、後遺症として残る恐怖と各人の仕方で向き合っていく。タイトルの意図を汲むならば、事件後に彼らに残した心的外傷と、加害者が事件を起こすまでに経験してきたそれこそが、声>>続きを読む
大地の美しさが見所のひとつと言われているが、カメラワークが平凡なせいか、イマイチキレが悪い。しかし例えば、背景を引き立てせる引きのショットを採用すると、F・マクドーマンドの繊細な表現がわからなくなる。>>続きを読む
コーランというのは、近代化した(世俗化した)人間の良心を問い直す装置としても機能するのである。
『別離』『セールスマン』『誰もがそれを知っている』、ファハルディ監督作品の特徴をあげるなら、悲劇に対す>>続きを読む
繰り返し観ている大好きな映画。
ラストの奥さんのカメラ目線での独白には毎回胸を打たれる。
一点だけ。
『ストーカー』の映画化でタルコフスキーと原作者ストルガツキーは袂を分けた。ストルガツキーが批判し>>続きを読む
1回目 2021/03/21
2回目 2021/06/15
3回目 2021/08/13
何度見てもいい。親と子の問題、責任の問題、「名前」の問題、愛と他者性の問題、人間的生の回復の問題など…
ミ>>続きを読む
見た目はアート志向で何か壮大な主題がありそうに思われるが、実は空虚なのでは。アリ・アスター的なうすさ。
主人公の設定やオチは面白い(のかもしれない)が全体としては凡庸な作品。昨年度のアカデミー賞のラインナップがこれほど弱かったとは。
2021/08/25 1回目
2021/08/31 2回目
2021年ベストどころか、オールタイムベスト級。
様々な切り口から分析できる多層的な作品だと思う。そのすべてについては到底語り尽くせないが>>続きを読む
時間が早く進むと大事な決断のまえに準備しておく期間がなくなって残酷だ、ということがやりたいのはわかった。ホラー映画にありがちな雑さが目立って冷めた。
ベン・アフレック&マット・デイモンコンビが復活ということ以外は事前情報なく鑑賞。中世フランスのスペクタクル伝記物なのかと思っていたら、すぐれて現代的な主題で批評性に富んでおり、こちらの背筋を正された。>>続きを読む
自分とは誰かを問うと生を無意味にしてしまう。それに代えて、自らの使命を見つけることで生に意味を与える話。
初めて観て以来ほとんど内容を忘れていたが、これほどタイムリーな映画だとは思っていなかった。オリンピックでの国家ぐるみのドーピングの目的がよくわからなかったが、ナショナリズムの高まりを利用してウクライナ>>続きを読む
シンプルに涙が出た。知的満足以外で感動できない人も心が洗われる、稀有な映画。
2024/04/28,04/29追記
2回目,3回目鑑賞。
この映画は画面に集中して観ればみるほど、心地よい環境音と静止画的な長回し映像とよくわからない会話のために、知らぬ間に意識を失ってしまう。何か>>続きを読む
2024/02/12 IMAXレーザーにて再鑑賞
映像のクオリティやスケールの大きさは『2046』から引き続き、期待を裏切らない。
個人的にこの映画の見どころは、飛行船や建造物のデザインだと思う。>>続きを読む
他の本作レビューを読んでいてハッとしたことが、家の前の封鎖空間のさながら舞台劇のような演出がケネス・ブラナーらしさとしてあげられるという点。