全員演技が大袈裟すぎる。手紙の内容を覚えて伝えるのはいいと思うけど。
個々人の栄枯盛衰を超えて大きな映画史の一部となることへの芸術家(=チャゼル監督自身)のよろこびが描かれている。少し前に観たマクドナー監督『イニシェリン島の精霊』では、そのようなピュアで高尚な芸術(家)>>続きを読む
浜辺に建つ映画館はノスタルジックで、廃屋とそこから見える景色とそこでのふたりのやり取りのシーンが美しく、記憶に残る。
ミシェル・ヨーが『ター』のケイト・ブランシェットよりオスカーに相応しいか個人的には疑問で、何か過大評価されている気がしてならない。
ミルクを盗んで一攫千金、とまとめることもできるどうしようもない物語なのに、長回し、窓越しのフレーミング、そして未開のオレゴンを写した映像が美しい。
クッキーがマーケットで成功するまで、少しうとうとして>>続きを読む
全体的に寒色めのホワイトバランスに統一された映像、ほとんど無表情な人物たち、統整された構図、これらは美しくも、男女にとっての社会での過酷さをも表現しているように感じさせる。
そうした社会の網目からこぼ>>続きを読む
睡眠時の音楽体験の神秘性を殊更に強調されても困ると考えていたが、リヒター自身の芸術家としての苦労も語られていてよかったと思う。
むしろ観客のほうが《sleep》を大袈裟に神秘体験のように語ったり、勝>>続きを読む
2023年度ベスト。純粋な芸術的高みを志向する天才にとって、現代のコレクトネスはノイズでしかない。クラシックの古典を重んじるリディア・ターは過去のマエストロと同様にマチズモを内面化している。
しかし本>>続きを読む
是枝監督が公開当時、本作はLGBTQのためだけの映画ではない、という主旨の発言をして少し炎上したように記憶している。友人との純粋な関係(≒愛?)の尊さは、LGBTQのような枠組みに安易に当てはめて清算>>続きを読む
どうしても『シン・ゴジラ』と比較してしまう。映画という芸術形式としてどちらの描き方が優れているのかはよく分からない。しかし『シン・』が、リアリティ・風刺・自然の恐ろしさや不条理さをゴジラを通して表現し>>続きを読む
本年度観賞の映画ではベスト級。平山の禅的・知足的な生活は憧れるが、その眼差しは自らの一定の生活水準が担保されてはじめて成り立つようにも思える。その意味で「美化しすぎている」との批判はあり得ると思った。>>続きを読む
個人的には久しぶりに満足感のある映画だった。語り口も必要十分だった。これ以上説明的でもこれ以上難解でもバランスが崩れてしまいそう。市子の生について我々に安易に同情させない(できない)そのバランス感も秀>>続きを読む