runcryさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.5

両親の関わり方に過剰さがあるわけでもないことから、きっとどこの家庭にも起こりうる事件。自身の特性を理解も受容もしない社会のなかで、ひとりの希望とひとりの安全基地まで失って、「ここにいるよ」と伝える相手>>続きを読む

リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

4.0

家族という名の混沌を描いたロードムービー。
何度か、声を出して笑った。

情報を何も入れずに観た方が楽しめそう。

JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-(2022年製作の映画)

3.0

もっと普段は見られない映像が満載なのかと思いきや、どこかで見たことのあるような場面が多く、ライブシーンに至るまでは映画である必要性を感じられなかった。録り溜めた映像を編集した広告作品という感じ。
とは
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映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い(2007年製作の映画)

3.0

過去作からの改変を受け入れられない、柔軟性に欠けた大人であることを自覚させられる。
子ども向けアニメとは思えない不気味さが好きだったのに。

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.0

隕石衝突で地球滅亡という事態に実際になったら、アルマゲドンのような感動展開ではなく、この作品のようになるんだろうと想像し、ラストシーンに説得力を感じた。日常を装いながら、強く握り合う手と手。
大統領た
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アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.5

登場人物の個性の薄さにより、騙し騙されが繰り返されても感情が動かず、アドベンチャーパートもスイスイ進むので、アクションシーン以外は平坦な印象。

でも、トム・ホランドが好きで、トム・ホランドを見るため
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グッバイ、ドン・グリーズ!(2022年製作の映画)

3.0

「足りないような、欠けているような、乾いているような気がして、何を欲しているのかは分からないけど何かを手に入れなきゃ、とジタバタしているあいだに何かを失ってしまう」のが10代なのだと思うと、若者にこそ>>続きを読む

オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体-(2021年製作の映画)

3.0

戦時中の情報にもっと触れてきたのなら面白く観られたのかもしれないが、知識がないので詳細を追わずにぼんやりと観たら、感想もぼんやり。

途中から『死んだあとの人間の尊厳について』が気になってしまい、彼ら
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.5

『誰もボクを見ていない』を読んで事件に至るまでの概要を知っていても、映像として見るのはしんどかったし、本を読んだとき以上に、事件が起きる前に救うことのできない社会を悲しく思った。

長澤まさみの喉を鳴
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

予想していたよりも現実的な物語。隣家の子どもが、登場人物たちの関係を立体化させる役割を担っていて、とはいえ演技は素朴でとても良い。

グループホームの運営に反対する人々を見て、忠さんたちを不憫だと思っ
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

コミュニケーションにおける障壁を超えようと、もがく人々の物語。感じ取ることも伝えることも、それぞれがぶつかり合いながら工夫しようとしていて、わかり合おうとする、人の想いの強さに触れられた。

兄が妹に
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

支援者と被支援者の関係のような、そしてその理想的な結末のような物語。諦めずに自分に関心を持ち続けてくれて、能力を認め必要としてくれる人に出会えて良かったね、と思えた。

パパとママに仲良くして欲しくて
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

4.0

望月記者のように、今日もどこかで何かと闘っている人たちがいるのだろうと考えて、エネルギーが湧く一方、彼女のように闘う記者はもっと増えて欲しいと思う。
ドキュメンタリー映画としては好みでない演出もあった
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無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ほぼ全編を通して地獄のような映画。

助けて/嫌だと声で叫べず、腕を拘束されて手話は使えず、言葉で感情を表明できないまま被害にあう犯罪現場では大きな音もしないので、その気づけなさに怖さと残酷さを感じた
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声もなく(2020年製作の映画)

3.0

題材から想像するよりも深刻ではなく、映画のテンションも人の命も軽い印象。劇場内では何度か笑い声もあがったが、自分は全く笑えず、むしろその度に引いた。
生きのびるために適応した、ただそれたけだったと言わ
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

平日へ巻き戻るかのように、朝のコーヒーとホームパーティーが描かれたけれど、そのまま日曜日が終わらなかったのは、ただの週末ではなく、何かが変わった週末だったから。

"interesting"を「なるほ
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.5

紙媒体や本屋が抱える問題には関心があるので、それだけで物語への興味は持続したし、現実的ではなくとも夢のあるラストは好み。年齢を重ねると無自覚に守りがちになるけれど、踏み出した先に新しい価値は生まれます>>続きを読む

仮面病棟(2020年製作の映画)

2.5

坂口健太郎を堪能できるし、展開は面白いのできっと原作は良いのだろうけれど、素材の味を分からないシェフが雰囲気だけで調理してしまった感。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

スパイダーマンシリーズを愛してきたファンへのギフト。
MJを助けたのが彼である必然性にも、夢には描いても実現しないだろうと思っていた光景にも、震えるように泣いた。
この映画を観ることができているという
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ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

小説家である母親が最初から最後まで非常識に見えて、その偏りは、監督の描きたい意図から外れているのではないかと心配した。
一方で、大切なものを懸命に守りながら善く在ろうともがく隣人が、今日もどこかで生き
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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.0

映画評か何かで見たからか、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』を思い出して少し懐かしい気持ちに。
そしてミドルクレジットシーンが全部もっていった。

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

コミュニケーション苦手な男子と、元気はつらつな女子の恋模様ってアニメの定番な気がするけど、制作している男性たちの願望が透けてみえるようで抵抗を覚える。
とはいえ、ポップでかわいらしい色づかいは好み。句
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帆花(2021年製作の映画)

3.0

『生きている』とはどのような状態を指すのだろうと、そんなことを考えながらしばらく観ていたら、いつの間にか、『そこで生きている』という事実を受け止めていた。

帆花さんの洋服が日によって、無地だったり柄
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.5

不安や恐怖、苛立ちや悲しみが、記憶と情報の混乱とともに襲ってくる、認知症の疑似体験。
映画の可能性を再認識させてくれる作品。

スキャンダル(2019年製作の映画)

3.5

性加害男性のおぞましさが不快なレベルで描かれていたのはしんどかったものの、それでも直接的な表現はないわけで、被害にあった女性たちの気持ちは想像を絶する。
女性が女性であるというだけで一丸とならず、足を
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.5

孤独を抱える人の前に置かれた分厚い壁を、「あなたはひとりじゃない」という音楽と映像の押しつけによって突破してくる場面は、いま間違いなく誰かが救われていると感じるほど強烈だった。

あれは優しい嘘なんか
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魔法遣いに大切なこと(2008年製作の映画)

2.0

主演の女子の棒演技も含めて前半はたんたんと眺めていられたものの、突然のよさこいソーランから、白ける演出と都合のいい物語へ様子が変わった。豪華な俳優陣を無駄遣いする監督と脚本のおかげで終盤はほとんど寝て>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

寝不足の状態で観に行ったせいなのか、何度か意識が飛んだ。“ノマドランド”も寝たので監督との相性は悪そう。だらだらと長い。
サノス級のヴィランと戦うような規模の話かと思いきや内輪揉めの物語だったし、アベ
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そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

最初から最後までずっと退屈。
“血の繋がりがない”ことはコーティングで、家族観やジェンダー観は古めかしい。どこかから借りてきたようなセリフも多く、白ける場面が何度もあった。子どもの声を聞かない親の行為
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

加害者家族の再構築が描かれているものの、身内で起こった事件だからか割と平和。とはいえ、田中裕子も鈴木亮平も松岡茉優もさすがの演技で、それらを観るだけでも価値があった。

他者からしたら『ただの夜』でも
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空白(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

注文と違う弁当が目の前に現れただけでそれが最期のスイッチにもなるし、名前も知らない人の言葉が希望になったりもする。
藤原季節が演じた若者の距離感や在り方は救いだし、モナリザ云々のセリフは笑えた。それら
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朝が来る(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

坂元裕二がドラマ“mother”で実母視点を描いてことを思い出した。彼も河瀨直美監督も、実母を悪役に仕立てて単純化させることを避け、子どもを産む/育てることにちゃんと向き合ったんだろうと想像する。
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これからの人生(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

モモ役の子の演技が良くて、想像ではたどり着かないほどの孤独が表現されていたように思う。
悪事から手を引く場面も、仕事をくれるおじさんに謝る姿も、マダムの見えないところで起こっている彼の変化で、こんなふ
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

4.5

予告も見ず、内容も知らず、でも何となくずっと楽しみにしていた期待を軽やかに超えてきた、素敵な映画、好きな物語。
ベランダで鳴る木製鍵盤の音や、“月の光”の連弾に感動し、本選での演奏にはテレビ画面の前で
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