昼行灯

鏡山競艶録の昼行灯のレビュー・感想・評価

鏡山競艶録(1938年製作の映画)
3.5
ストーリーはまあ普通だが、登場人物がほぼ全員女性であるところが興味深い。なぜ女性だけの世界なのか。男性がいては女性は己の信念に従って行動する主人公にはなれないのか?そうした設定は観客にどう受容されるか。

夜は光量が少なくて撮影不可なので、夜のシーンをカメラに暗色フィルターを用いて昼間に撮影してる例を日本映画ではじめて観た。確かに影のコントラストや伸び具合で違和感ある。

主人公のアクションと、それを追うカメラのダイナミズムが素晴らしい。着物なのにものすごいスピードで屋外から室内まで、カメラの端から端、四方八方を駆け巡る。カメラはその様子を移動カメラ、ハイアングルでも捉える。悪役は全然追いつけない。なのに主人の死には間に合わない。動作そのものもだけど、時間感覚にも迫力が感じられた。

悪女役として有名だから鈴木澄子映画見てるけど、悪女=ファム・ファタールでは必ずしもないなあ、、男が介入するから、この等式になってしまうんだろうか。男がいなければ、鈴木澄子が男性性(覇権性)を獲得する。そしてそれを男性主人公に取って代わった女性主人公に奪われる。性別関わりなくこの力学が働くといいんだがなと思う。
昼行灯

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