maro

デジモンアドベンチャー02のmaroのネタバレレビュー・内容・結末

デジモンアドベンチャー02(2000年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 ストーリー:★★★★★★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
    映像:★★★★★
    音楽:★★★★★★★★★★

『デジモンアドベンチャー』シリーズ第2作目。
放映当時は僕が高校生になってしまったこともあってアニメから離れており、ほとんど観てなかった。
今改めて観て、当時の自分をタコ殴りにしたいぐらい面白かったよ。。。
前作からの設定を引き継いで、登場人物もほぼ同じで完全なる続編なのになぜ観なかったのか。。。

前作は、デジタルワールドに迷い込んだ選ばれし子どもたちによるサバイバルがメインだったのに対し、今作はデジタルワールドと現実世界を自由に行き来できる設定。
なので、サバイバル要素は少なくなり、デジタルワールドで異変が起きたら解決しに行くというスタイルだった。

前半は、いきなりデジモンカイザーなる敵が現れて、彼を倒すことが目的になっていたけど、そのデジモンカイザーがあまりにも唐突に出てきたもんだから、全然感情移入できなかったんだよね。
第21話でワームモンが犠牲になっても全然響かなくて。
それが、第23話でデジモンカイザーこと一条寺賢の過去が語られて、ようやく泣けるように。
彼の心の闇と大きな後悔がすごく刺さった。

後半からは物語も新たな展開を見せる。
大輔たちはもちろんのこと、賢も贖罪の意味合いも込めて、デジタルワールドに突き刺さるダークタワーを排除しつつ、新たに現れたアルケニモンとマミーモンとバチバチやり合っていく。
あれだけひどいことをしてきたから、賢は他の選ばれし子どもたちの間にもぎこちなさがあったけれど、数々の苦楽を共にすることで徐々に打ち解けていく過程は見ごたえある人間ドラマだった。
大輔なんかはああいう性格だから細かいことは気にせずに賢に絡んでいったけど、伊織はずっとわだかまりがあって、子供たちそれぞれの性格が如実に反映されていて面白かった。

でも、終盤はなかなかに唐突ではあったね。
黒幕である及川がポッと出というか、最後の最後でようやく出てきた上に、「えっ、そんな設定なの?!」ってぐらい昔からデジタルワールドに絡んでいたから。
リアルタイムでの放映当時も終盤の方は観ていたと記憶しているけれど、あまり及川に感情移入できなかったんだよね。
それが今観たらもうボロ泣きでさ。
これは大人になった今だからこそ、及川の気持ちがよくわかるんだよ。
彼もまた、かつては夢見る少年だった時期があって、選ばれし子どもたちと同じように光や希望をその胸に宿していたんだと思う。
でも、「俺は夢を持つ力が自分にあることを信じることができなかった。人は誰でもくじけてしまうときがある。けれど、俺はそれを乗り越えることができなかった」と言っていて。
だから、彼はずっとデジタルワールドに行けなかったし、パートナーデジモンにも会えなかった。
いや、パートナーデジモンさえいないと思っていたんだろうな。
ところが、実はいたんだよ、彼にもパートナーデジモンが。
最後の最後でやっと出会えて。
及川は自分が消滅する直前にようやく夢が叶ったんだよ!!
これがもう本当に感動ポイントだった。
本当に本当によかった。。。
僕自身もいい歳をした大人になり、小さい頃のように夢や希望を持ちづらくなってはいるけれど、、、うん、この世の中がもう少しファンタジーで、及川のように最後の最後で奇跡が起きたら素敵だなと思います。
そんなこと起きないかな(笑)

そんなわけで、大人になってからこそ観てもらいたいアニメだった。
やはり前作が凄まじく面白すぎたので、それと比べてしまうと少し霞んではしまうけれど、子供たちの成長譚としても楽しめるし、何よりも及川が現実を生きる大人たちの最大公約数みたいな存在になっていて、彼が最後の最後で報われるところがすべての大人の救いになるかなと。
そして、大人の役目は子供たちが元気で過ごせる未来を作ることだなと、最後の及川の行動で痛感したよ。。。
太一たちの将来がみんな成功しすぎだろって今なら思うけど、子供が夢を見るには十分すぎる締めくくり方で最高でした。

(2023.10.18再鑑賞)
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