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十角館の殺人のJIZEのレビュー・感想・評価

十角館の殺人(2024年製作のドラマ)
3.8
十角形の奇妙な外観を持つ館"十角館"が存在する孤島 角島を舞台に合宿で訪れたミステリ研究会の男女7人が一人また一人と殺害される事件の全貌へせまる。原作は10年以上前に読了。ほぼ安楽椅子探偵もの。世界が認めた令和版Jミステリーの開幕。まず推理作家の綾辻行人によるデビュー作品「十角館の殺人」の初版が1987年に発行され、現在その約37年越しに"パンドラの箱"が満を持してひらく。綾辻行人による館シリーズの第1弾。端的にミステリーの形式は"フーダニット"で謎を解き明かすまで死者が出続けるというもの。また今回主演を演じた奥智哉による主人公の江南の視点とミステリ研究会7人の視点が同時並行で交わされる。結論は潔過ぎるほどの超忠実な原作オマージュだった。主人公が最後まで事件には直接的に巻き込まれず蚊帳の外で推理をし続ける、という視野や距離感のとりかたもかなり特殊かつイビツ。上述した原作オマージュによる時代背景をそのまま80年代にチューニングしたことで、トリックそのものの粗を目立たなくさせたのは巧妙だったように思える。全5話観終わりJミステリーの深淵の世界に没入した感覚は強烈にあじわえ、脚色を抑えめに本格ミステリーのジャンルへ落とし込んだのは結果的に正解には思える。マイナスの意見としては犠牲者の半数以上は毒殺が大半で、孤島の舞台建ての豪快さ以上にはその恩恵を事件そのものが受けれてない印象をうけた。今回の好評をうけぜひ館シリーズの二作目以降の実写化も、配信ドラマ化という特異のプラットフォームで続投してもらいたいかぎりではある。
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