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眠れる森のJIZEのレビュー・感想・評価

眠れる森(1998年製作のドラマ)
4.1
親からの精神的虐待などによって心に深い傷を負ったアダルトチルドレンとそれを取り巻く人間模様を描きだす純愛ミステリー。"A sleeping Forest"。まさに全編最後まで欺かれ、溶け込み、真相がみえなくなる、"カモフラージュ"。最近 夕方の再放送枠で連日放送してたのを機に、一気見鑑賞した。単純に脚本の野沢尚の功績が、素晴らし過ぎるに尽きる。同時に、この世にもういない事実が惜しくも悔やまれる。また第1話の中山美穂演じる美那子と木村拓哉演じる直季が、ラブレターを受け取った15年後に"眠れる森"で会うハンモックの重要なシーンは、最終話の"待つ者"と"向かう者"との図の円環で対になってて、それがふたたび第一話同様に再会を果たし円を閉じるか、というポイントもスタートとゴールが逆さまの図になりまた深い。個人的には第11話のキムタク(直季)とユースケ(敬太)がビルの屋上で抱き合うシーンは、白眉に思え"人生やり直しはきかないが、それでも生き続けなければならない"という痛烈な人生のメッセージが効いてるように感じる。したがい第11話が、事実上のほぼクライマックス。最終話まで鑑賞すれば誰も救われないストーリーだと分かるが、イノチの尊さや重たさみたいな生命の根底の原理をミステリーに見立てて結局は解こうとしたんじゃないかと思える。美那子が記憶を取り戻す過程での中盤の間延びは多少あるが、トリッキーな脚本込みで鑑賞後も余韻に浸れる秀逸なミステリードラマだ。最終話はやはりすべてが報われなさ過ぎるため、単純に直季が"寝過ごした説"を絶対唱え続けます。
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