ハマちゃん

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのハマちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
Talk to me

降霊パーティーという新たなパワーワード共に2人のフィリッポウ兄弟監督がデビュー!👏

デビュー作とは思えない
ムード作り。
構成。
カット。
全部がスーパーハイクオリティ!
A24が携わっているのがめちゃくちゃデカいのか、それにしても監督の技量がすごいんだと感じた。

ラストは説明しすぎ感は若干あったが賛否。
コンジアムから続く目が真っ黒カットはパワーがあって大好きだな〜と。

ーーーーーー⚠️以降ネタバレ⚠️ーーーーーー

主人公 ミア
親友 ジェイド
ジェイドの彼氏 ダニエル
ジェイドの弟 ライリー
ジェイドの母親 スー
臭い犬 クッキー

物語はミアが母親を失っていたとわかる場面から始まる。

ミア自身明るく、ライリーを迎えに行き車で大熱唱するくらいは元気。
ジェイド家までの帰り道にカンガルーが今にも死にそうで苦しんでいるにを発見する。
ライリーは「楽にしてあげよう」
ミア「・・・」
結局理屈ではわかっていても自分から引き金を引けなかったミア。(んーー気持ちは分かる)

家にライリーを届けジェイドに会った途端
ミア「カンガルーが倒れてたの見てショック😭

【癒して】」

と甘えそれにジェイドはそれに答える
ベッドで2人、あと臭い犬
じゃれ合うシーンがなんともアットホーム感溢れていて最高そう(めっちゃわかる)

ジェイドママには
スー「お父さんとの時間を作って」
ミア「お父さんとは一緒に居たくないの、私悪い子なの

【治して】」


その後、降霊会なるものがあるとミア、ジェイド、ライリーの3人でパーティーに行くことに。

そこでのミアは一変、溶け込めず誰とも会話が続かない。(うわぁーーわかる🥺)

主催者には「あいつベタベタしてて嫌いなんだよ」
ここでミアの今までの言動に納得がいく。

ドラマ、映画、漫画、アニメ、よく居る煙たがれるタイプのあるあるっ子だ。
けれども単純なキャラクター。ではなく一人の人間として演じきってるこの俳優がすごいと思う。
演じる人が演じたら作中ずっと観客から嫌われててもおかしくないと思う。

疎外感から降霊に立候補、無事憑依。
ライリーとジェイド以外は大盛り上がり。

90秒という制約をちょっとオーバーしたせいでその後ミアは悪霊に取り憑かれることに。

今度はダニエルが憑依チャレンジしてみたいとジェイドにお願いしたのか、ジェイドの家で降霊パーティーをすることに、
スーはダニエルが家に来た途端に「何企んでる!パーティーはダメよ!」とジェイドとミアを一喝。

スーが今度はライリーの部屋に行くとクッキーと友達がそこに。
今考えると
めっちゃ臭い=嫌われる
倫理観・常識=若者には嫌われる

クッキーは倫理観とか常識、そういったものの比喩だった様に思える。
あの時ライリーはパーティーの事は知らなかったからクッキーはあそこに居た。

パーティーが始まる。
ダニエルが憑依、その後ミアもやりたがる。
ミア「犬は追い出して」

臭い犬(倫理観)が追い出されそこからパーティーは加速する。
やりたい放題憑依され放題。狂いに狂っていて最高に楽しそう。ライリーは言う。僕も。

ミア「50秒だけなら」

ライリーは自称ミアの母親に乗り移られ、
自傷、警察沙汰に。

どう考えてもミアの責任。
ミアは後に「みんなが50秒なら大丈夫じゃね?」って言ったから!と、発言するが確かにそんな空気感ではあった。

だが勝手に話を進め勝手に決めたのはミア一人。

こういった空気感を含め本当にムード作りが秀逸な作品だった。
序盤の「わかるー!🥺」ってシーンもすごい感情移入するには良かったし映画作りが本当に上手かった。

ライリーを助ける為か、何かにすがる為か警察にバレないように持ち帰った「憑依の手」を取り出す。

が、1人で使える訳もなくライリーの病院へ足を運ぶミア。
ジェイド一家には完全に嫌われてるのが考えれば分かるはずなのにジェイドに「帰って」と言われ「なんで?」と言葉を返す。
「謝罪の言葉」はスーに詰められもなく、最後に突き放されてやっと溢れる。

ダニエルと家に帰り、ちょっといいムードに。
傷つけた一家の彼氏と手を繋ごうとするがダニエルはまとも。振り払う。

そのよる憑依されたミアがダニエルの足を舐めダニエルからも突き放される。

父親も何かを隠している。
親友。その家族。昔の彼氏。
周りにいる全ての存在から孤立しミアは言う。

「talk to me」

母親に化けた霊が現れ、ミアを自身に依存させるため嘘をつく。
自殺はしてない。ライリーは今すぐ助けが必要。

一方ライリーはもう末期でいつ憑依されている霊に殺されてもおかしくはない。

パーティーメンバーは会議を開き「憑依の手」の持ち主 ダケットの兄に会うことに。
兄は門前払い、話をする気はなくバスへ乗り込む。
が、ここでミアが諦めムードを振り切って自主的にバスの中へ切り込む!

ミアが本当の意味で自主的に動いた瞬間である。

兄からヒントを貰い、あれ?誰もロウソク消してなくね?というミアの神推理。

試しに初めから憑依を行いロウソクを消してはみるが手応えが無いどころかライリーが弄ばれている映像をミアは見させられてしまう。

焦るミア、その夜、父親が母親の自殺の真実を打ち明ける。
がそうは問屋が卸さない。ミアママに化けている霊が「父親は嘘つきであなたを殺そうとしている」と言い幻覚まで見せ、父親の首をハサミでグサリ。

後戻りできないミア。
母親を信じるしかもう道がない。

ライリーを救うには殺すしかない。
それしか道がない。
スーの「あなたは悪くなかった。ごめんなさい」

そんな言葉を全く聞き入れずライリーを救う以外ミアの存在意義はもう見いだせない。

ジェイドは少しずつ良くなっているライリー!と言うがそんな言葉も右から左。
(実はあのロウソク消しは有効だったとここで分かる)
病院からジェイドとスーを引き離しライリーを連れ出す。
道路に突き落とすまであと一歩。

ミアママがいう。

「あなたは私の誇り。正しいことしている。」

結果車椅子から手を離し自分が落ちて死んでしまう。



この作品。ミアという人物が主人公ではあるが
一つ一つの行動をよく見てみると

一切成長しない。そしてそのままラストを迎える。

正しい行動なはずなのにカンガルーを轢けなかった。なぜ?
自分が傷つきたくないから。

憑依に立候補した。なぜ?
仲間はずれにされたくないから。

ライリーに憑依を許した。なぜ?
理解ある(義)姉という居場所が欲しかったから。

ジェイド1家に開口一番、謝罪せずにズカズカ近づいていったのはなぜ?
傷ついた自分を「あなたのせいじゃないよ」と慰めて欲しかったから。

ダニエルと手を繋ごうとしたのはなぜ?
客観的見れば加害者になってもおかしくはないが、ミア自身は被害者の心境が拭えておらず慰めて欲しかったから。

1度は踏みとどまった1人憑依を、その後したのはなぜ?
ダニエルにも距離を取られ、自分にびしょ濡れ女がまだ憑依してると気づくが、もう頼れる人、依存できる先がないから。

ダケットの兄がバスに乗り込んだのを1人追って行ったのはなぜ?
周りからはライリーを助けたい一心の行動に見えるが実は自分自身ビショ濡れ女が出ていって居ないことを知り、
ライリーを救う=自分を救う
がミアの中で出来上がっているから。

父親が真実を打ち明けてくれたのに母親を信じ、父親を刺したのはなぜ?
真実を受け入れると、ミアを捨てて【自ら】命を絶った母親を認めてしまうことになるから。

そして

ライリーを殺せなかったのはなぜ?
自分が傷つきたくなかったから。

ラストは少し時が経ち、ライリーが元気になった姿を見る。
が、父親にも友達にも声をかけても反応はなく。
気づくとそこは暗闇に。

誰かに見つけて欲しい。私に寄り添って欲しい。


話を聞いて欲しい。


そんな孤独の暗闇に1つの灯りが。
すがるように近づくと手をさしのべられ一言。


「Talk to me」