春とヒコーキ土岡哲朗

アウトレイジの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

アウトレイジ(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

苦痛だらけ、悪い人間たちの喰らい合い。

コワモテな人々のヤクザワールドで、みんながそれぞれの企みで裏切り合い、誰が誰を殺してもおかしくない状態。楽しくないけど“娯楽”な映画だ。
バイオレンスに、笑いと同じようなフリオチをする。國村隼が「てめぇの舌は何枚だ?」と聞かれたとき、「あぁ、舌になんかされるんだぁ」とこっちに思わせてから、舌を噛ませる。面白くも感じるし痛みも増す。
ヤクザ同士のテンポの良い怒鳴り合いも、観てて気持ち良い。
塚本高史が若者キャラなので応援していた。しかし、足を洗って身を隠すことになりって地元に帰る途中の新幹線であっさり死亡。あまりにも死が軽々しくて、「暴力が横行しすぎて感覚が麻痺している」という暴力批判も含んだ暴力描写だった。

大友、國村隼から理不尽な破門を言い渡され、「あんたがやれって言ったんだろ!」。上の人間たちに散々振り回され切られる、哀れな捨てゴマ。手榴弾により、建物を爆破され、「終わりかぁ」とぼやく。騙し合いでの敗北に残念そうでもありながら、あっさり殺される現実味の無さから出た、真剣味のない言葉。今まであまり大きな動きを見せなかった三浦友和が、杉本哲太、北村総一朗を殺害する、「最後に本性見せやがった」感。

新会長加藤(三浦友和)に挨拶する、悪徳警官・小日向文世。後輩に賄賂が渡されるのを見て、「会長、俺にも(笑)」と冗談を言い、加藤に「バカヤロー」とかわされ、「フッフッフ」と笑って、エンドロール。この汚い終わり方に、「わる!」という気持ちが一気に増幅し、とにかく悪人だらけの映画だった。