金宮さん

のぼる小寺さんの金宮さんのレビュー・感想・評価

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
5.0
いやあ、なんてこったい。見つかってなさすぎの大傑作。途中から悲しいでもなく嬉しいでもない、謎の涙が出てきました。

いい意味で親の顔が見てみたい、圧倒的「純」でキラキラの小寺さん。登場人物は彼女に魅せられ、続々と前を向き始めます。文書にするとチープですが、その魅力を体現しきった工藤遥さんが素晴らしすぎる。

青春映画にありがちな、過剰な陽も陰も、共感性羞恥を招く独特のノリもなく、オフビートに熱い様は『リンダリンダリンダ』さながら。監督の古厩さんは50代で製作してるはずなのに、なんでこんなに高校生の演技指導が古臭くないのでしょうか。素晴らしい。

小寺さんのような存在って意外とどのコミュニティにも1人くらいはいたりするもの。そういった人を斜に構えて見てしまっていた過去は、自分にも心当たりがあります。つまり小寺さんを好きになれただけで、誇っていい。そして、今作の小寺さんを好きにならないのはほとんど不可能な気がする。そういった意味では鑑賞者すら肯定してくれる最高の作品だと思います。

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・先生、みんなの前で進路を喋っちゃダメですよ。

・文化祭でのはつらつさを茶化された際も「あの人達は寂しいんだ」と受け流す。周囲の悪意に気づいてない天然というわけではない描写。ほんとどう育ったらあんな風になれるんだ。。

・聖人レベルでは先輩2人も負けず劣らず。部の雰囲気が良すぎるんだよなあ。

・小野花梨さんも相変わらず最高。小寺さんに「写真撮っていいよ」と言われたあとの、嬉しすぎる「えぇーー」なんて流石の感情表現。

・好きな台詞がたくさんあったのですが、夢中でそれどころじゃなかったのでもう一回みて書き起こしたいレベル。
金宮さん

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