金宮さん

君が世界のはじまりの金宮さんのレビュー・感想・評価

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)
3.5
高校生による父親殺し事件の逮捕シーンからはじまるが犯人の顔は見えない。そこから一度過去にさかのぼり学校生活を描写する中で、約3人の生徒に父親との不和を感じさせ、いったい誰が?と思わせるつくり。

事件については作品中盤で割と思わぬ種明かしとなるのだが、それ自体が今作のコンセプトであり根幹となっておりそこはとっても共感した。気概としては『鈴木先生(ドラマ)』や『明日、君がいない』と似たものを感じる。

正直、ノリにかなりついていけないというか数人の自意識過剰がつよすぎて、たとえ高校生といえどひーーってなる部分もある。特に純と伊尾のカップルはかなり推せない。そもそも自分の排他性が原因で悩んでおり、そのくせ「私を見て!」が強すぎる。田舎への閉塞感から継母とやっちゃうなんて意味不明。フードコートのテーブルや、他人の車のルーフなど登っちゃいけないところを自分の舞台にして心情を吐露する様なんて、若気が至りすぎてて見てらんない。

でも多分、前述したコンセプトや明らかに彼らよりつらい業平の静かさとの対比かと理解し、飲み込むこととした。そんなところで深夜ショッピングモールの青春シーンがきて、やっぱりダサい。悩みを順番に吐露するシーンなんて卒業式の練習みたい。

メッセージは素晴らしいのに演出が足引っ張ってる珍しい作品だと思った。お目当てだったし、実際一番魅力的だった中田青渚さんがメインテーマにあんまり関わってないところも不思議で2つの原作を組み合わせたという作り方がその辺に出てるのかもしれない。


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・古文の成績が悪い相手にラブレターを和歌で出す方もどうかと思うが、それを別の女の子に訳させるなんて岡田ど鬼畜ですやん。と思わせといて、だんだん魅力的に見えてくる感じは、縁の気持ちに没入できてる感があってよかった。

・粗い演出や脚本もあるなか、やっぱり江口のりこさんと山中崇さんは救世主。今作でいちばん好きなシーンは縁の家でのおならのシーン。世界一優しいおなら。

・とにかく全ての夕食がお好み焼きなのだが、偏見強すぎて関西の人に怒られるんじゃないか?と思ってたら監督も大阪の方でした。
金宮さん

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