このレビューはネタバレを含みます
やりすぎだよ。。と思ってしまう程の負の連鎖。
鑑賞後のやるせなさはこれまで体験したことのないレベル。全編をとおしてベイベイが「あのような学校生活でも、他に比べればまだマシだ」というトーンなことに社会全体の生きづらさを想像してしまう。
隠蔽体質がやたらロジカルな校長、世間体ばかりのチャン母、なにも行動を起こさないベイベイ祖父など、序盤の大人たちの至らなさは「頼りない」という印象にとどまるものの、後半からは学校側の極悪ぶりに舌を巻く。
基本的に露悪的なキャラ造形はあまり好みじゃないのだけれど、これは実話だからそんなこと言ってられない。フィクションだったら脚本に違和感を覚えるほどのクズであり、とにかくゲンナリした。
こんなどうしようもない不条理にどう立ち向かうか、誠実なワン先生のような存在に唯一の救いを見出すしかない。もし、自分が当事者だったとしたらそのような大人になるしかない。
では、そんなワン先生であってもなぜ気づけなかったか?序盤「聾学校に悪人はいない」という発言が心に残っている。生徒たちに寄り添うがゆえに、彼らに優しくない社会へのアンチテーゼを持つ。そこから生まれてしまった「社会的弱者の彼らは善人に違いない」という逆張りの偏見。生徒への対応からも垣間見える「良くも悪くも直情的な性格」も手伝い、奥にある闇が見えていなかった。その盲信は学校側に対しても同じく持ってしまっていたのかもしれない。
そして今作は、鑑賞者も途中までユングアンを絶対悪として見てしまいかねない構造にもなっている。ワン先生と同じく、視野を狭めるバイアスをあなたも持っていないか?と指差された感じ。だからといってユングアンの行動それ自体は間違っていると強く思いつつ。
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ご紹介いただいた、Rioさんありがとうございました!実話ベース系の中でもかなり刺さる内容でした。。