柏エシディシ

ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男の柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
映画がどんなに素晴らしいものなのか。
映画史上最も素晴らしい映画の一本の製作再現ドラマを通して、そのことを改めて教えてくれる。
映画を撮る映画の名作に枚挙に暇はないけれど、ドラマ10話にしたことによる人物やエピソードの積み重ねや豊富な小ネタの数々。最高です。
圧倒的史実として「ゴッドファーザー」があるのに「この映画ホントに完成するんか……」と心配になってしまうドラマづくりもすごい。脚色があるのしても、実際どんだけゴッドファーザーが奇跡の産物であるかが判る。
「観客が観たい映画ではなく、観るべき映画を作る」めちゃくちゃ大事なことだな。

ナイーブな青年役の多かったマイルズ・テラーが、その味を基本ベースに「アタマとタマ(機転と度胸)」で成り上がるアル・ラディを貫禄で演じている。「セッション」やグースの息子役を抑えてキャリアベストのパフォーマンス。
「くたばれハリウッド」でお馴染みのロバート・エヴァンスを胡散臭くもチャーミングに演じるマシュー・グードも最高だし、
印象的な声のジュノ・テンプルも、今までバイプレーヤーの印象だったけどメチャイイ役もらったね!って嬉しくなる。
体重を大幅増量した"デニーロアプローチ"のジョバンニ・リビシ!!「フレンズ」のフィービーの弟の頃から好きさっ!最高のジョー・コロンボだった!
シーザー、ボビーカナヴィルの倅、大きくなったな〜今後活躍しそう
コッポラとプーゾのカワユサなんかもたまらんし、イメージ通りでそれでいて絶妙な意外性がリアリティを生むパチーノらオリジナルキャスト陣の配役も巧みで良かった。

なんだかんだアルもボブも、アタマのカタい重役や街のチンピラたちも「映画が好き」「いい映画がつくりたい。いい映画が観たい」って結局、心を繋げていくのが熱い。
ジョー・ギャロの件のあっさりな結末と、それ以降ドラマが失速するのだけが若干勿体ないし、アカデミー授賞式のシーンは割愛しても良かったんじゃないかなぁと個人的には思うけれど、また何度も見返したいし、何よりゴッドファーザーをもっと好きにさせてくれた。
ドラマの完成度やクォリティでいくらでも良い作品は他にあるけれど、今年自分にとっては特別なドラマとなった
柏エシディシ

柏エシディシ