柏エシディシ

寄生獣 -ザ・グレイ-の柏エシディシのレビュー・感想・評価

寄生獣 -ザ・グレイ-(2022年製作のドラマ)
3.0
「新感染」のヨン・サンホがあの「寄生獣」をリメイク。
というより、日本のミギーとシンイチのドラマと並行して韓国でも(というより世界中で)寄生体が襲来していたら…というスピンオフか。
寄生体と奇妙な共存関係を持つ主人公に「ソウルメイト」韓国版での好演が記憶に新しいチョン・ソニ。
近年、印象的な役柄で目を引くク・ギョファンに、韓国映画ファンお馴染みの燻し銀クォン・ヘヒョと脇も手堅い。

全6話で、若干駆け足の印象。
ハイジをはじめ寄生体たちの心境の変化や、誰が敵か味方か判らないサスペンスこそが本作の肝だと思うが、テンポ良く進む分アッサリめで展開は想定の範囲をはみ出さないのは少し物足りない。
ハイジがスインに影響を受けながら人間に理解を深めていく過程、ガンウやチーム長の人物変化などはドラマとしてもっと描き込み甲斐があった筈。
しかしあっさりしたテイストは、原作の妙なドライな肌触りを上手く再現している、とも言えるかも。
やたらと感傷的でへたくそなドラマで作品を台無しにしてくれた山崎貴の映画版のことを考えれば、遥かに良い。
原作からして日本社会の病理や性質を巧くドラマに取り込んだ社会考察が巧みであったが、本作も韓国社会ならではの背景を独自性にしていて、面白かった。
ゾンビ映画が優れた社会批評性を帯びる様に、ゾンビものの"変種"とも言える「寄生獣」もそれだけのポテンシャルがあるということ。この調子でアメリカ版、ヨーロッパ版などの寄生獣も作れそうだ。
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