柏エシディシ

一流シェフのファミリーレストラン シーズン1の柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
2022年のベストドラマのひとつという評判を聞き及び、チェック。
……めちゃ好きだ。最終回はじんわり涙した。また明日仕事頑張ろう、と思った。
結局、人間独りでは何も出来ない。考え方や流儀が違う事を"対立"や"断絶"と諦める前に、"敬意"と"感謝"を。Yes,Chef

邦題が酷すぎて、ありがちな"落ちぶれた一流シェフが傾いた老舗レストランを立て直す成功譚ドラマ"と思いがちだし、
実際そういう側面もあると言えばあるのだが、圧倒的に新しいフィーリングを感じる演出の切れ味と編集のテンポがフレッシュ。
何がこんなに面白いのか伝えるのが難しくてもどかしい。
ドラマとしては「ナースジャッキー」、映画でいえばPTA「マグノリア」を観た時に近い感覚を覚えた。
王道にして斬新。というか。
プロデューサーにヒロ・ムライやボー・バーナム「エイスグレード」のクリストファー・ストーラーの名前を見つけて合点もいく。そうそう、その感じ!

映画より長い時間をかけてじっくり観る人間と関係性を構築していくドラマシリーズのキャラクターや演者の力や魅力は、ある意味映画より重要だと思う事がある。
そういう面で本作の人物描写や被写体に寄り添う様な撮影とストーリーテリングは一級品でキャストも素晴らしい。
主人公カルメン(ジェレミー・アラン・ホワイト)のドラマはある種の人間には他人には思えないだろうし、リッチーやシドニーや、それこそティナやマーカスの中にも仕事場や社会の中における自分自身をついつい見出してしまう。
カーミーやレストランのシェフたちの心の欠落を象徴する人物が「あの人」というのも、何とも絶妙だ。

音楽使いがまた最高で、シカゴが舞台という事で作品のタリスマンの様に輝くWilcoをはじめ、最高にキマッている。
轟音と叙情が交錯するVia Chicagoなんて本作のテーマ曲の様だ!
パールジャムやLCDサウンドシステムなど世代的にも上がってしまうセレクトにも興奮してしまうが、なんといってもクライマックスの"あのバンドのあの曲"!
柏エシディシ

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