よう

Bodies/ボディーズのようのレビュー・感想・評価

Bodies/ボディーズ(2023年製作のドラマ)
4.5
4つの時代それぞれで同じ場所に同じ人物と思われる全裸死体が、という設定のイギリスのドラマ。
この設定だけで興味を持ち見始めたら、なかなか止まらなかった。
グラフィックノベルが原作らしい。

ミステリー✕SF
1890年 1941年 2023年 2053年
それぞれ主人公は刑事。


まず、タイトルバックがちょっと好み。
タイトルロゴを中心としたシンプル寄りの映像。かつてのヒッチコック映画のタイトルバックとか『古畑任三郎』とかと通ずる、タイトルロゴそのものを映像として使うとなんかミステリー系って印象が深まる。
新聞、指紋、レコードなどドラマ内でキーとなる小道具を組み合わせている。


脚本の構成が巧みなドラマ。

例えば、どっかの時代で取調べシーンがあると次に別の時代でも取調べシーンが来たり、ある人物についての話が出ると別の時代パートでその人物が出てきたり。
そういう各時代の見せ方が断片的にならないようにつながりを持たせている。
深くなかった二人の人物が関係性を深めると、こっちの時代でも同様にってパターンとかもあった。

で、そういう映像作品としてのつながりが、ストーリーとしても直接的につながっていくもんだから、「おおー、おおー」となる。

主人公である4人の刑事がそれぞれその時代におけるマイノリティである点もよかった。
いまだにそこに否定的な人もいるけれど、マジョリティー主義の視点だけのエンタメだけなら何も発展していかないでしょっての。
視点を豊かにすることを拒んで、自分の理想だけを求めるばかりで何も変えられないのは、このドラマにおけるアイツと同じでしょ。

あと、これもささやかな自分の好みだけど、1890年パートの序盤はちょいシャーロックホームズ風味。主人公がホームズ的な推理をする。
ここはさすがイギリス。
ホームズ風味といえば、このドラマ全体の終盤、大まかな真相が明らかになった後にアイツが主人公視点になるパートが来る。
この、いわば犯人側視点のパートが後半に来るという構成もシャーロックホームズの長編にあったパターン。


ストーリーの大きな仕掛けについて(時代を股にかけるつったらそりゃそれ出てくるよね)。
どちらかといえば、この仕掛けそのものよりは、前述したドラマとしての作りに感心したほう。
なので、仕掛けそのものについては少しぐらい雑でもよかった。
が、そこもけっこう面白いというか、自分は新鮮に思えた。いわゆる〈左右対称〉理論のとこね。
都合いい理論ではあるけど、厄介そうでもある。だって二つに増えちゃうんでしょ。
だから、アイツは2053年よりずっと未来にもアレしちゃうことに。めんどくさ。

ツッコミどころはなくはないのか……いや、あんま精査してないからよくわからんけど、探せばあんのかな。
気になったのは、アイツと結婚する人物と、アイツの家系だって後に判明するあの上司。この2人の心情ってやや掴みづらい。なんかアイツの計画のためにそんな酷いことまでするかなあっていう。
アイツと結婚する人物のほうは、最後のほうで別の可能性が描かれているので、そっちのほうが現実味がある気はする。


何気に終盤の話もけっこう好き。
「あ、アイツ、妻のことを本気で愛せたんだあ」っていう。
そこがあるからこそ、アイツが5人目の主人公というかね。
誰からも愛されなかった人の話だから、
Know You Are Loved (愛されてる)
というキーワードへ。
よう

よう