マグルの血

さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~のマグルの血のレビュー・感想・評価

3.6
指揮者をやめてしまった男が日本に帰ってきてもう一回指揮者になる話。

音楽の都ウィーンで活躍する指揮者俊平。
華々しく活躍する彼ですが、ある日の出来事を境に娘に絶縁され指揮者をやめ、妻子も日本に帰り一人ウィーンで生活することになります。
それから5年、妻の策略により日本に帰国。絶縁状態の娘との再開。そして彼のすむ町、解散寸前の晴見市のオーケストラとの出会いから、彼と家族、そしてオーケストラの再生の物語です。
風前の灯である晴見フィルに、最初は乗り気で無かった俊平も、オーケストラの面々の情熱や音楽愛、人間性に触れることで心を動かされ、彼らのためになんとかしたいと奮闘する姿がなんとも微笑ましい。
期待を裏切るような展開がほぼなく安定した王道なストーリー。しかし丁寧かつ優しく描かれた人物像や人々の関係に心暖まるハートフルなストーリーとなっています。

各話毎にテーマとなる楽曲を紹介、演奏シーンは少ないですが物語の軸となる登場人物の心情やストーリーと楽曲がリンクし、感動的な演出が施されています。クラシック音楽の素晴らしさは十分伝わるドラマかと思います。

まさに安定の日曜劇場。

ただ、やはり天才と称される人の人間性、ましてや並外れた努力とこだわりを持つような主人公俊平。彼の狂気が見え隠れする様が個人的には楽しめました。

マエストロと慕われ、晴見フィルから尊敬される偉大な指揮者俊平ですが、音楽意外のことはまるでダメです。最終回では職場であるウィーンの大学に、帰国期間を越えても連絡することを忘れており、メールを無視し続けていたエピソードには驚きました。

高校球児だった彼が、高校生のときの素晴らしい出会いをきっかけに音楽の道を進むことを決意するのですが、業界においてはおそらくスタートが遅すぎることは明白そこから世界で活躍するマエストロに登り詰めるのは並大抵の努力ではないことがうかがえます。

おそらくあらゆるものを犠牲にしてきたはず。

その犠牲は家族にまで影響を及ぼし、娘である響との関係性も犠牲の一部であると思う。
朗らかで、心優しい男性である俊平ですが、他人対する興味が音楽以外にない一面が時折垣間見えることがあります。
どこかで、良き音楽との出会いが全ての基準にあり、基準に沿わないノイズを本能的に排除しようとする狂気。実際そんな狂気的な演出ではもちろんないですが、よくよく考えると若干サイコパス感あるかもと思わせてくれるときはゾクゾクします。

芦田愛菜に目が行きがちだけど、このドラマは當真あみに注目しました。このところ見かけること多くなった女優さん。本作も強く印象に残りました。

あと新木優子の美しさが異常。

それから西田敏行の体調が心配。
マグルの血

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