柏エシディシ

ブラック・ミラー シーズン6の柏エシディシのレビュー・感想・評価

ブラック・ミラー シーズン6(2023年製作のドラマ)
3.0
近年「ブラックミラーの様だな…」と思う事に現実で出くわす事が多く、このドラマシリーズの先進性と時代を読む嗅覚の鋭敏さに改めて感心する。
4年振りの新シリーズは、そんなブラックミラーとNetflix本体をメタ的に再解釈する「ジョーンはひどい人」「ヘンリー湖」からスタート。相変わらずの毒気。
「観ている貴方たちを私たちも見ている」と囁かれている様でゾクッとする。
クオリティは第5シーズンより持ち直した様に思う。
全体としてはプロット的な捻りやサプライズの少ないシーズンという印象だが、ジョン・クローリー(「ブルックリン」「ダブリン上等」)が演出を手がけた「ビヨンドザシー」は出色の出来。
巧みな導入から中盤の展開以降は、嫌な結末の予感しかしない中、それでもぐいぐい引き込まれてしまう。
アーロンポール、ジョッシュハーネット、ケイトマーラという絶妙なキャスティングが不穏な雰囲気をまた醸し出していて、とても、イイ。
少し凡庸な「メイジーデイ」を挟みラストの「デモン79」も一風変わった風刺劇でお気に入り。
極右台頭の70年代末イギリスから透けて見える、今現在。
悪魔ガープの造型が絶妙。もしかたら天使も悪魔も、実際にいたらこんなモンじゃないか?という妙なおかしみとリアリティがある。
こんなクソッタレの世界なんてぶっ壊して、ふたりだけここではない何処かへ。
そんな結末が私は大好き。
柏エシディシ

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