柏エシディシ

テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン1の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
オープニングタイトル。スタジアムのブルーのシートにテッドが座ると、そこを中心にシートが赤く染まり広がっていく。
低迷する弱小フットボールクラブが、あり得ないくらいのポジティブマインドの男の情熱と明朗さが少しづつ伝播していき、人々を変えていくこのドラマを象徴する演出。

競技描写やリアリティ面に関しては、サッカーファンから観ると物足りない部分もあるが、コメディ色の強い「ジャイアントキリング」ドラマ版として軽快に楽しめる。
あっけらかんと「勝敗より大事なものがある」と宣うテッド・ラッソ。
勝負事だから、勝利に拘るのは当たり前だとして、本当にサッカーが好きな理由のそもそもの根本は何だっけ?という事を思い出させてくれる。
サッカーでつながっていく人と人の縁。
そして、結局その事を大事にしているチームは魅力的だし、強いものであるという事も、また真実。

破天荒な人物がぽんこつチームを立て直すという定型ながら、本作をグッと特別なものにしているのは、やはりテッド・ラッソことジェイソン・サダイキスの魅力。
見本の様な「陽気なアメリカ人」で笑いをとりつつ、そのネアカの裏の翳りや憂いを匂わせる人物像はドラマに深みも。
ハンナ・ワディンガム、ジュノー・テンプルら女性陣も本当に素晴らしい。
2人とも定型的ヒロイン像からハズれた一昔前のドラマや映画だったら憎まれ役で終わってしまいがちなキャラなのに、本当に魅力的。
劇中の台詞の通り、小さな女の子たちが共感して憧れる大人の女性として彼女たちの様なヒロインが居たって、トーゼン、良いのだ。
キャスト陣も漏れなく素晴らしい。
スコアは低めだけれど、今後の各キャラクターの発展や変化などに期待した、敢えての数値です。
AFCリッチモンドのフツーにサポーターになった気分で今後も大いに楽しみたい。
柏エシディシ

柏エシディシ