Lemmy

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCEのLemmyのレビュー・感想・評価

4.5
シビュラシステム(生権力的なもの)の下での「法の廃止」っていう設定が、ちょい浅い。というのも、18世紀以降の規律権力においてさえ、「法は道徳化」している、あるいは「ノルムが法を凌駕する」と言われ、法は既に正常性の道具にされている。いまさら法がノルムに対抗する手段となるには、もう少し別の意味づけが必要ではあるまいか。(この物語はずっとフーコーの『監獄の誕生』などを下地にしている。)

おそらく、それは常守が民衆蜂起のための消える媒介者になるときに、法もその蜂起に使えるか否かにかかっている。この物語は、常にシステムから逃れる人間一般の至高性に未来を賭けているが、その萌芽が(免罪体質以外には)見出せない。

4.5の理由は、こういうことを数年おきに考えさせてくれるから好き。
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