tacoyaki

PERFECT DAYSのtacoyakiのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
1.8
いやマジか。
いやマジで。

なげーよ尺が。
半分でいい、いや30分だろ。

しかも演出がベタっつーか、やっぱりねっつーか。最初の方で主人公が汚らしいもの扱いされるシーンとか最悪だわ。わざわざ分かりやすく説明してくれんでも。あんた巨匠ちゃうの?

しかも出てくる奴らが絶妙な過剰さでキャラクタライズされすぎで記号的。お会計のときイチイチ一言ご意見を添える偏屈な古本屋の店主。もはや義務感すら漂うほどにあらゆるものを10点満点評価で語る後輩。もはや人間というよりも、設定ばかりが透けて見えるのが居心地悪い。

と思ってたらこの臭さ、脚本だわ。高崎卓馬。電通の広告屋。この臭ささ、CMの臭さだわ。

そう考えると全て納得。
主人公が毎朝必ず飲むのもボスの缶コーヒー。いや、役所広司ボスのCM出てんじゃん。ていうかこれ、超壮大なボスのCMなんじゃねーか?マジで。

ボスのCMタレント役所広司の長尺CMの企画つくりました。意外といいじゃん!これいっそ映画にしちゃおうよ、ヴィムヴェンダースとかでさ!的な。電通的なノリで。

モノクロの夢インサートとか差し込まれる洋楽のセンスとか、随所のそれっぽさで映画として救われていたように感じたけど、それでもハッとするカットや構図、カメラワークはほぼなかった。期待値は超えてこない。

しかし役所広司の、朴訥で不器用で、ちょっと俗世を離れた感じのキャラクター、もうお腹いっぱいだわ。マルちゃん正麺とかボスとかCMがチラつくチラつく。

この映画、役所広司以外でも成立したかな?オシャレトイレじゃなく、地方の小汚い便所でも成立したかな?清貧さや、日常に潜む機微、その美しさはこの演出されきったファンタジーでしか成立しないのでは?

なんかこう予告編とか前評判からは、アキカウリスマキ的なそういうものを期待してしまっていたんだけどなー。ヴィムヴェンダースもそういや雰囲気系というかアート系というか、ニュアンス系だからなー。

そう言った意味でも、広告屋のくっさい脚本を巨匠の手でなんとか映画的にしてる。そんな感想。
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