鈴木ピク

プリシラの鈴木ピクのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.7
少女からプレスリーの妻になったプリシラの物語。ただしそこにはプリンセル譚のようなロマンは薄く、ただただ狭い視野、狭い世界をすべてと信じ込まされたプリシラのわびしさがある。なんと薄暗い画面。ソフィアは少女の体感に没入しそれをスクリーンに投影する天才だが、そのことが物語的な起伏にはなんら寄与しない。ので、プリシラの人生が停滞し始めると映画も波がなく停滞する。実際はプリシラも不倫していたらしいがそれも描かない。例え母になろうとも、少女はずっと少女のまま。そこに少女性を称揚しその無力さ愚かさも愛そうとするソフィアの屈託がある。
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