鈴木ピクさんの映画レビュー・感想・評価

鈴木ピク

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プリシラ(2023年製作の映画)

3.7

少女からプレスリーの妻になったプリシラの物語。ただしそこにはプリンセル譚のようなロマンは薄く、ただただ狭い視野、狭い世界をすべてと信じ込まされたプリシラのわびしさがある。なんと薄暗い画面。ソフィアは少>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

4.1

アドベンチャー映画のハッピーエンドのその後の話みたいな導入部が結構ニッチな魅力を持っていたと思う。世界観も良くも悪くもデタラメで、日本の少年漫画みたいな雑さと自由度を感じる。ただ前半のツイストを終える>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.9

『ファースト・カウ』は「どうしてこんな奇妙な映画を作れてしまうんだろう」と吃驚しきりだったけど、本作も併せて見ることで未知なる既知の発見とでもいうような歴史の掘り返し、西部劇の盲点、つまり映画の盲点を>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.3

今のアメコミ映画が退屈なのは、観客だけじゃなく作り手もSFXやヒーローの存在に麻痺してしまっていたからだと思う。
本作、アンディ・ムスキエティ監督はぶっちゃけMCUにもいる全然珍しくないザ・フラッシュ
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ブラックアダム(2022年製作の映画)

2.6

贔屓のジャウム・コレット=セラ監督作なので良いとこ探そうとして観ていたけど、それでもあまり面白くなかった。
序盤の市街戦やジャスティス・オブ・ソサエティ(ジャスティス・リーグとの名前かぶり、自分たちで
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シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

2.4

あの快作の続編なのに信じられないくらいつまらない。でも監督は同じデヴィッド・F・サンドバーグ、一体何が。

・大人ヒーローに変身できる子供たち
・ヘレン・ミレンとルーシー・リューが完全な悪役
・ジャイ
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ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

3.4

何度となく映像化されてきた『ドラキュラ』原作にあってシンプルな舞台立てにも関わらず実は面白く映像化するのが一番難しい気がする『デメテル号』パートを、独立させて映画化。
完全に「船の上の『エイリアン』」
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.4

前半の駒井蓮の台詞聞き取れねえ。。。

否定も肯定もせず、ただこうした繊細な傷つきやすさが題材として扱われるのは良いことだと思う。そのことと映画として良いかはまた別で、まずこのぬいサーから「弾かれる」
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.3

初映画館タル・ヴェーラ。
統制の効いた長回しの妙で映画の格を保ちながら、人類が何百年も当たり前に「西洋音階」に音楽観を支配されてきた様な抑圧を、巨大なクジラを引き連れたサーカスが牽引する暴動の、その抵
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.5

もっと洗練された映画かと思いきやいかにもアジア映画っぽい、というかなんか邦画っぽい前半のステレオタイプな描写の素気なさに戸惑うも、後半でNYの巨大な光景がスクリーンに大写しになり人物の小ささと対比され>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.3

80分で納めるべき内容を延々引き延ばされたような印象を受ける。阪元監督に求めているものはジャンル映画で、何周遅れか知らない似非タランティーノ路線は別に多くの客は求めてないのではと思うのだが(無数にああ>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.2

仲間の死体を食べて生き延びた飛行機事故生存者たちの実録ドラマをド迫力で描く衝撃作。なんとなく手が伸びずにきた『生きてこそ』と同じ原作(同じ事故)なので、こっち見ることで手打ちとさせてください。
ジュラ
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聖なる証(2022年製作の映画)

3.4

セットが本編に見えてくるというこの上なくメタな導入から始まり、飲まず食わずで生き続けてキリストの再来とされた少女の実地観察に派遣された看護婦の視点で事態を解明していく物語。信仰とは異なるそうとしか生き>>続きを読む

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.7

過激派ヴィーガンも浅薄に揶揄する方も等しくバカにしつつ、倦怠期夫婦の気力の再生とその暴走を描く(ネットde真実に目覚める中高年みたいな)バランスがフラットで飄々としてて、見たことない心地 ただオチから>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.7

知らない監督の知らない映画を鑑賞。
とある都市で、終電乗り過ごしてしまった中年女性が彷徨する一夜のスケッチ。
知らない都市なのにどこもかしこも見た事ある、夜の静かなうら寂しい光景の数々。
そこにいつか
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

町工場で働くPMSの藤沢さんとパニック障害の山添くんの日常を、彼女らの周囲の人たち、そして彼女たちを取り巻く光や空気、街並みごと映し撮る
好みで言えば微妙に合わない映画だったのだけど、一つのスタイルを
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ブラック・フォン(2022年製作の映画)

4.6

スコット・デリクソンという、凡そ埋もれてしまいそうなジャンル作品に染まりながら言い難い圧というか痛みというか、同時に根源的な信仰の強さも感じさせる作家が、『ドクター・ストレンジ』という晴れ舞台での様々>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

4.5

面白かった 小型戦闘機の中でグレムリンと闘うのがミソの映画かと思っていたら、「密閉された銃座の中から日本軍とグレムリンと闘う」というミニマルさへの徹底が見たことないサスペンスを持続する それは同時に窮>>続きを読む

珈琲時光(2003年製作の映画)

4.8

出先の映画館で不意にリバイバル上映に出会ってビックリした、20年前のオールタイムベストの一本。

台湾チームが撮る日本の空気、「珈琲時光」としか呼びようのない本作独特の淡さが、、、フィルムの劣化によっ
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.7

貸し切り状態でわーいとはしゃぎながら見たのでだいぶ緩い目で見ているが、緩い目で見ることでちょうどフィットする映画

冒頭とラストでいくらなんでもつまんな過ぎる監督ご本人登場があるが、この投げやり感が映
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.7

という訳で一気に1、2と見て3を映画館で

やってることは同じだけど、いつもピンボールで最後にマ・ドンソク(広域犯罪科マ・ソクト刑事)と出会う悪党がわかりやすく粒だってたのに対して、今回は途中まで一番
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犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

3.8

1の感想と変わらないけれど、マ・ドンソクは無敵でも関係者は割と巻き込まれて大けがを負う=だがマ・ドンソクのスピードは特に変わらない(ドラマ的な影響は最低限)のが個性的 『悪人伝』もそうだったはずで、こ>>続きを読む

犯罪都市(2017年製作の映画)

4.2

シリーズの特徴を一番印象づけたのがここだと思う 悪党たちと暴力刑事のピンボール ドラマではなく、ただ衝突するアクションだけで魅せる群像劇 あらゆる暴力が吐き出されるが、そのすべての頂点にマ・ドンソクの>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

5.0

4Kレストア版IMAX上映。

40年前の伝説のライブが冷凍保存されて目の前で解凍された。カメラとデヴィッド・バーンの共犯関係。クリアな音がずっと腹に響いて、バンドセットが組み立てられる演出や会場の規
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切り裂き魔ゴーレム(2016年製作の映画)

3.2

一応主演はビル・ナイだし19世紀ロンドンの空気も再現しつつ、どうも理屈じゃないところで「テレビ映画かな?」みたいな雰囲気も嗅ぐ、つまりちょうどながら見でもするのにお手頃な一本。

幾つかの猟奇的殺人が
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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)

3.2

前半の、不謹慎なまでに大量に人が死んでいく戦争描写の応酬にむしろ現代の悲惨の速度を重ねて、これは『00』が2期以降捨ててしまった「MSという武力も行使しての平和の希求の過程」を容赦なく見せるんだなと興>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.5

アマプラで久々に再見。

昔は「純粋に聞き取りづらい」「また押井守が難しいこと言ってる」「シリーズのこと知らないとわからないこと言ってる」と、好きな映画ながら細部の台詞は聞き流してたんだけど、普通に全
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黄龍の村(2021年製作の映画)

3.4

「やっていることはとても面白い」のに、「低予算から起こる様々な綻びの瞬間に目をつむり続ける」ことで成立する邦画の低予算良質エンタメ映画、面白がるのに少し疲れてきた。

作り手が悪いのではなく、新鋭が一
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.6

『ドント・ルック・アップ』『ホワイト・ノイズ』と、年末のたびに「コロナ禍以降の不安な世界の気分」をすくいあげたネトフリオリジナルの映画が誕生して、2023年は本作だった。

豪華スターを揃え、何が起き
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千年女優(2001年製作の映画)

4.2

リバイバル上映で再見

印象としては「小野坂のツッコミがうざい」「虚実の往ったり来たりがそこまで幻想に浸からせてくれなかった」という感想を抱いていたのだけど、映画は映画館で観るべきというか、スクリーン
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アイドルマスター シャイニーカラーズ 第3章(2024年製作の映画)

2.3

全然整理できてない感想すいません。

良さもわかり、その上で弱いと思った。

第一章に比べると拝啓の撮影の濃淡が深まったような、少なくとも「スクリーンで正視に耐えない」ようなスカスカの画面はなくなった
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

4.6

それらは突然現れて、最悪の選択を突き付けられ、選ばないと世界が崩壊していく。
イヤ過ぎるスリルが全編持続し、しかしこの画面(劇中人物にとってはテレビ、観客にとっては映画)の中でそれはすべて起こっている
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スケアリーストーリーズ 怖い本(2019年製作の映画)

4.1

映画に『学校の怪談』の面影を追い求めてる人間なんですけど、本作かなりそれに近い。
それも「古い建物に子供たち7人が吸い寄せられるように集まり・・・」な序盤でまんま『学校の怪談』じゃん」となってから、中
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スマイル(2022年製作の映画)

3.9

絶妙なアイデアを核に据えながら、ストーリーの型に思い切り『リング』を用いている事に驚いた それだけ古典の強さを持っているんだろう

演出もまた今時珍しいくらいジャンプスケアに重点を置いていて、結果とし
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霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

3.2

「映画美学校」のロゴで始まり、いかにもな廃工場らしき場面に(韓英恵は好きですが)どうにも知らない、半分ほどはあまり華の無い顔の役者が集い、集音マイクとか録音機器とかシネフィル心くすぐりそうな素材が映さ>>続きを読む

“それ”がいる森(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

『事故物件』本作『禁じられた遊び』で中田秀夫の「恐ポップ」三部作と銘打てるらしい。
確かにどれも「これ本気か、、、」としんどくなる鈍重でダサくてダサくてダサい終わってる演出に付き合ってると、次第に「こ
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