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DOGMAN ドッグマンのASHITAKAAkinoのネタバレレビュー・内容・結末

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます


人生を愛してる?


2024年映画24本目

正直、彼のキャリアの中では成功作とは言えないけれど、カムバック・リュックベッソン。
思い入れが強い監督であり、脚本家。どちらかというと脚本オンリーの仕事の方が生き生きしていて好き。ジェットリーとのタッグ『Kiss of the Dragon』や『Unleashed』、ステイサムをスターダムにのし上げた『The Transporter』、『Atlanta』でもネタにされるリーアムニーソンの『Taken』、そして真似して擦り傷を作った良い思い出の『YAMAKASI』、大好き。産業の要請的な続編も難なくこなしてしまう、ハリウッドにおいては重要な素養だったようにも思えます。
キャンセル騒動後、というのもあり、ややテンポは悪く、主人公は男性である。彼の描く女性像はいつも気高く、物理的に強いのが素敵。その面は今回は希薄。なぜなら今作、主人公でありヒロインは1人の人間が演じているから。

そもそも犬を撮りたかったんだな、というのが第一に。脚本の構造上の欠陥、数々あるつっこみどころ、悪役の作れてなさ、犬が人を襲うってどうなのよっていうところとかも、まあ甘い目でしてしまうくらいにはファン。初恋の失恋のパートは子どもから青年期を脱するまでをセンチメンタルに非常によく作られていたと思います。おなじみのエリック・セラの劇伴も良い雰囲気。

傷つき、ボロボロになりつつも、犬の力を借りて、1人で立つ彼と監督を重ねる。それは私が彼の仕事を愛しているからに他なりません。あるいは映画という神にこの身を捧げるという意思表明にも、とここまでいくと言い過ぎかも。

一点苦言を言うならば、そろそろ『レオン』を引き合いにするのもやめにした方がいいのでは、とも。確かに再生産は得意な監督ではあるものの、作品の大きな魅力はそこにはありません。今後も彼の作る切なくも美しいドラマやアクション映画を応援していきたいと思います。
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