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キラー・ナマケモノのnetfilmsのレビュー・感想・評価

キラー・ナマケモノ(2023年製作の映画)
3.2
 昨年の迷作『キラーカブトガニ』に引き続いて今年の『キラー・ナマケモノ』というキラー・フレーズにはゴールデンウィークのMEGA盛り祭りここに極まれりの感慨に浸る。タイトルの時点で明らかに数年後の午後のロードショーの夏休みMEGA祭り案件なのは間違いない。カブトガニの時点でまったく怖くなかったが、ナマケモノはそれ以上に怖くない。いや、むしろ『ゴジラ×コング 新たなる帝国』でキングコングが出現し、『猿の惑星』でサルという人間の擬人化プロジェクトの最も金のかかった超大作をもうすぐ体感する我々からすればもう『キラー・ナマケモノ』は明らかにB級で、負け戦でしかない。然しながらこんな映画誰が観るのかという映画をさくっと地雷を踏むように楽しむのが私の性分である以上、お付き合い頂きたい。微妙にテイストが違うので『キラーカブトガニ』の監督と別人かなと推理したのだが後ほど調べたら正解で、今作は『キラーカブトガニ』の監督とはまったく別人の企画でした。おまけに配給側も『キラーカブトガニ』のエクストリームから中堅のアルバトロス・フィルムが見事にアイデアだけを流用という狭い世界での椅子取り合戦で、アルバトロスさんも随分やることが節操ないなと。

 ナマケモノだが殺しはナ・マ・ケないなどというふざけた予告編の文言のせいで観るのを辞めた人も多いはずだが、然しながら映画そのものは『キラーカブトガニ』よりこちらの方が面白いという幾分皮肉めいた展開が待つ。スクール・カーストのピラミッドの上位と下位が、女だらけの高校生の寮で、生徒会長を巡る争いといえば真っ先に思い出すのはアレクサンダー・ペインの傑作『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』なのだが、今作はホラー映画でありながら、25年前のあの歪な傑作の世界線を如実に再現しようとする。一応インフルエンサーのカウンターのようなものも出て来るが、主人公とインフルエンサーの姫との関係性がわかれば後は必要ないと言ってしまっては演じた意味がないが、殺されて行く人物の相関関係を把握しても意味ないというホラー映画あるある通りの展開になるので無問題である。然しながら実は素早く動けるとわかったナマケモノの可愛らしいルックスとその一瞬での豹変ぶりは80年代における『グレムリン』のギズモにしか見えないのが玉に瑕で、ナマケモノがインターネットを見ながら軽くマウスをクリックした時点で爆笑してしまった私の価値判断はいわばゲラで、マシュー・グッドヒューの意欲だけは確かに伝わったが、だいぶズンドコではある。
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