このレビューはネタバレを含みます
悲劇とも言われるが奇跡とも言われる
尿が黒い
奇跡って何?
2024年映画12本目
ウルグアイ空軍機571便遭難事故。
72日間のサバイバル、と簡単に言い表せないほど過酷な環境下でのドラマ。2人の遠征は9日間。
語り部=生者というセオリーを排した演出は好き。カメラの距離的にもヌマの一人称のように思っていたら、徐々に弱っていきそのまま亡くなる。どこかホラー的な演出のようにも感じました。
ウィキで読んだけど、人肉食は記者会見まえにヘリで助けに行った山岳ガイドにリークされて問題になったとか。映画でも充分その点の葛藤や抵抗(結果としてヌマはそれで亡くなったようにも)、綺麗事だけでないところも描いていたけど、正直、この遭難事件の最初から本の出版くらいまでは映像化しても良かったのでは、とも。これなら4-6話くらいのシリーズでも全然行けたし、むしろそれで観たかった気もしました。
カメラが良いのか、デジタル処理が優れているのか、景色、遠景、大雪原は本当に綺麗。ただ綺麗だけでない、厳かさも。唇や肌がからっからなメイクやどんどん弱り痩せ細っていくのとかも見事。若手の役者たちの演技を高みに導くだけの演出と環境だったように思えます。写真を撮るシーン、雪崩が起きるまえの和やかなシーン、鳥の鳴き声のリレーするシーン、好き。奇跡と悲劇は紙一重で、他者が定義づける以上の複雑で言葉にしがたい感情が映像として切り取られていました。