金正恩

アメリカン・フィクションの金正恩のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.0
インテリ黒人小説家が冗談で書いた本が大ヒットする映画。

近年の多様性推進の機運を皮肉った過激なブラックコメディー。
「真実ではなく、免罪符を求めている」という一節が象徴するように、人は自分が見たいものを見ているのだなと思った。
政治は限られた資源を分配することだと思っているが、文学賞の選考は同様のプロセスがあると感じた。

本作のメインテーマではないが、芸術から大衆小説へと転向する作家の姿勢が印象的だった。
純文学からエンタメに舵を切り、読者の期待に応えるがごとく作家性そのものを演じきった北方謙三を想起した。
ジャンルに関わらずこういった事例は珍しくないが、売れ線に乗るための妥協の裏にある創作者の葛藤が垣間見え、切なさを覚えた。
金正恩

金正恩