ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による三部作構想の二作目。
前作と同様に、その最大の魅力は圧巻のビジュアルにある。
砂漠の荒涼とした風景から生み出されるオレンジやベージュの絶妙なグラデーション。ハルコンネン家のモノクロのコントラストも見事で、美しいカラーリングは現代アートのよう。
広大なワイドショットも多数使われ、そのスケール感に圧倒される。特に太陽が沈む砂漠のシーンや、宇宙船を仰ぐショットは格別の美しさだ。
また、今作の敵役であるオースティン・バトラーの演技も素晴らしい。個人の判別が難しいほどの白塗りでも確かな存在感があった。『エルヴィス』や『マスターズ・オブ・ザ・エアー』などの話題作で群を抜いたキャラクターを演じているのでこれからも注目していきたい。
ただし、三部作が実現するか未定であることが残念だ。ストーリーとしては締まりがなく片手落ちになってしまうのではという不安がある。