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青春18×2 君へと続く道のコマミーのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
3.6
【LOVE LETTER】




"藤井道人"監督…あなたはいつか海外で映画を撮ると思っていたよ…。

"台湾と日本"…深い繋がりのある二カ国を舞台に、近いようで遠い存在に贈る"ラブレター"のような恋愛模様を描く。


とても"儚く"て、"切ない"ラブストーリーであった。
そして、この"ジミーとアミ"の2人の距離を縮めそうなキッカケを作った日本の映画の中に、"岩井俊二監督の「LOVE LETTER」"や、音楽面では主題歌にも使われる"ミスチル"、そして行事としては、日本では長岡なんかで行われる"灯籠上げ"が使われたりと、3つの切ないものが使われてて、物語の結末と共に一気に涙腺に刺激を与えてくれた。

というのも、本作も「余命10年」同様、「乗れなさそうに見えて、見てみたら乗れてる」恋愛物語を描いていて、誰もがみても感動できる作品だったのではないかなと感じた。そして本作は、今までの藤井作品同様に"情景重視"なところもあり、「恋愛映画は苦手かな」という方にも、台湾や日本の長野や東北の雪景色を"列車の車窓"と共に堪能できる作品となっており、この"物語と情景の配分"がうまく取れてた映画だった。鉄道好きや旅行好きも見てほしい良質なロードムービーでもある。

演技面で言うと、"シュー・グァンハン"の"日本語の演技"がある意味自然で、凄い頑張ってくれてたなと感じた。そして、ジミーが旅先の松本市の居酒屋で出逢う、日本在住の"リュウ"を演じた"ジョセフ・チョウ"の日本語もとても良かった。
そして、実は藤井作品常連の"清原果耶"さんの不思議な魅力のあるアミの演技に見惚れてしまった。

ただ、ラストに至るまで、そんなに感動できるものや魅力に感じる演技を私としては序盤や中盤から感じ取れる事ができなかった為、本作は恐らく、ラストでだけ盛り上がる映画になってしまったと思った。それはそれで良いのだが、中盤でもそれを感じたかったなと感じ、ラストまで少し苦痛だった。微笑ましい場面はあったと思うが…。

とはいえ、台湾スタッフと共に、ここまで壮大なラブストーリーを描けた藤井監督は凄いなと感じた。台湾俳優の日本語の演技はめちゃめちゃ頑張ってたと思うし、私も旅行に出てみたくなった。

藤井道人監督の海外デビュー第一歩作品、非常におみそれしました。
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