コマミー

スーヴェニア -私たちが愛した時間、後に-のコマミーのレビュー・感想・評価

3.5
【悲しみを乗り越えて、躓きながら、夢に突き進む】




"A24"は現在、自社制作としてタイ・ウェスト監督の「X」を続編展開して今に至っているが、配給としてだけなら、この「スーヴェニア」2部作がA24が出資した続編ものとしてあげられると思う。
残念ながらこの"PART2"同様、このシリーズは劇場公開されず、日本では知名度は全然ないのかもしれないが、あの名女優"ティルダ・スウィントン"とその娘:"オナー"、そして監督・脚本はティルダ・スウィントンの幼馴染"ジョアンナ・ホッグ"と"知り合いと身内"で固められ、物語の内容は多くがジョアンナの若き日の事を綴っているかなり実験的な作品なので、ティルダが好きな方はそう、映画好きは見てみる価値はあると思う。

とは言え、かなり見る人を選ぶ作品だとこのPART2も見て確信した。"PART1"は個人的に、"ジュリー"と"アンソニー"のミステリアスな恋にそれを引き立てるゆったりな雰囲気のシナリオ構造に、深みを感じて良かったのだが、PART2ではヘロイン過剰摂取でアンソニーを亡くし、それを乗り越えながら、映画製作の道へ進もうとするのだが、PART1と同じようなテンションが、この続編でも続いているのでちょっと飽きてしまった。
ただ、映画製作シーンは"半ドキュメンタリー的演出"があって、それは面白い試みだなと感じた。同時に、監督はこのような悲しみを乗り越えて、必死にもがきながら手にした結果、今に至るのだなと感じ、映画に友人や友人の身内を出す所も、本当に監督は"人との関わり"を大切にしているのだなと感じた。

ジョアンナ監督と言えば、年始に鑑賞した「エターナル・ドーター」が個人的に素晴らしいと感じたばかりなので、個人的にPART2を見れてとても良かった。

雰囲気もとてもいいし、これから映画製作に携わるという若い人にも本作は参考になる所もあると思うので、見ておく価値はあるかもしれませんよ?
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