あかめ

毒娘のあかめのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
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「ミスミソウ」がドハマリした内藤瑛亮監督の新作なのでしっかり初日に観ました。リアルな少年犯罪ドラマを自主制作した「許された子どもたち」を挟んでのホラー映画復帰で、都市伝説的な題材をモチーフにしながらしっかり前2作を踏まえた集大成的な内藤ワールドが展開する作品でした。
都市伝説的な物語を求めるお客さんはわりと定石通りのわかりやすい物語にたくさんのショックシーンがあればOKな感じなので、都市伝説的なものを求めてきたお客さんには毒親と血のつながらない母娘のドラマは不要かもしれませんが、それがあるからこその毒娘でした。
昭和の価値観を妻に押し付ける父。そんな父に追い込まれて亡くなった実母との冷凍食品の思い出をちーちゃんに語る娘のシーンとか普通のホラーなら絶対に描かれません。
佐津川愛美さん演じる継母と植原星空さん演じる娘の一瞬でわかる違和感とか凄いし、優しそうにしている段階でやっぱりヤバそうな竹財輝之助さんの夫、馬渕英理何さんの隣人がもうキャスティングの段階で大成功な存在感。
ちーちゃんは長い髪で顔がほとんどわからず、エンドロールであの「推しが武道館いってくれたら死ぬ」でアイドルを演じた伊礼姫奈さんと知りびっくりでした。
ちーちゃんの言い知れない魅力が彼女によって醸し出されていて、後半の意表を突く展開も説得力があります。
内藤作品には手作り感溢れるガジェットがよく登場しますが、今回のちーちゃんもいろいろ手作りしていました。
あの衣装にメイクのビジュアルが良く、あとでポスターを観てそういうことだったのかと思いました。
タイトルからもいろいろ先入観を持って観てしまいそうですが、何にも似ていないオリジナルの内藤ワールドをそのまま受け入れればきっと惹かれるはずです。
「ミスミソウ」に匹敵する残酷シーンに「許された子どもたち」同様、親子のドラマと似た境遇の二人の共闘が描かれることで内藤ワールドてんこ盛りの充実感。
バイオントでエレガントでホラーだけどリリカルで青春しているところが何にも代えがたい魅力的な作品でした。
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