T太郎

スターシップ・トゥルーパーズのT太郎のレビュー・感想・評価

3.8
972
久しぶりに鑑賞。
ポール・バーホーベン監督のSFアクションだ。
娯楽作品として非情に面白かった。

私はSF作品が好きである。
グロい作品も好きだ。
恋愛映画も好きだ。
戦争映画も、まあ好きだ。

そんな私の好きを寄せ集めたかのような作品でおる。

人類はある星と戦争状態にある。
相手は宇宙人ならぬ宇宙虫だ。

奴らは宇宙船などは持っていないのだが、小惑星などの軌道を変えて地球に激突させたり、なにやら強力な光線を発射したりと非情に強いのだ。

個の力も強い。
体がでかく頑丈で、何発もの弾丸を撃ち込んでもビクともしないのだ。
どんな虫か、例えようにも例えようがない造形である。

だが、こちらには宇宙船がある。
奴らの星を襲撃して、木っ端みじんにしてやるのだ。
・・・と思ったら違った。

その星に上陸し、なんと白兵戦を試みるのだ。
無謀にも程がある。
奴らは強いのだ。
しかも、ウジャウジャいるのである。

捕まったが最後、頭を噛み砕かれ、胴体を切断され、身体中を引きちぎられ、うち捨てられるのだ。

人類はほうほうの体で一旦退却するのである。

戦いは更に続くのだが、実はこの戦争にある既視感を感じたのだ。

チラッとしか言及されないのだが、先に侵略的行為に及んだのは人類の方らしい。
それに対する報復を今、受けているという状況なのだ。

最近どこかで聞いたような話だ。
あるいは戦争のきっかけとしては、ありふれたものなのかもしれない。

私がこの作品をごくわずかながら、戦争映画として観た要因である。

主人公は高校を卒業し、軍隊に入る。
恋人が軍のパイロットを目指しているので、その後を追った訳だ。
パイロットは将校だ。
だが、彼は二等兵から始めなければならない。
・・という設定がいい。

軍隊における階級格差についてのドラマが、随所に散りばめられていて面白かったのだ。

私はとても面白く拝見させていただいたのだが、バーホーベン監督は全く乗り気ではなかったらしい。
「トリック」という映画の中で、バーホーベン自身が語っていた記憶がある。

ハリウッドで撮った作品自体に、あまり思い入れが無さそうな語り口でもあった。
興味のある方は観ていただきたい。
T太郎

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